グッドルーザー(5) サッカー 大分 美しく散ったパスサッカー 【大分県】

第102回全国高校サッカー選手権大会大分県大会

11月19日 レゾナックドーム大分

決勝

大分1-2柳ケ浦

新チームになってから、県内主要大会のタイトルを手にしてない大分にとって、全国高校サッカー選手権県大会は最後のチャンスだった。今年は県内で唯一、高円宮杯プリンスリーグ九州(2部)に参戦。レベルの高い九州の強豪校とのリーグ戦を戦った経験を集大成としたかったが、決勝で柳ケ浦に敗れた。

試合は常に相手に先手を許す苦しい展開だったが、自分たちのパスサッカーを貫いた。中盤で小気味よくボールを回し、大分のストロングポイントであるサイドに展開して打開した。前半17分に先制点を許したが、小野正和監督が「狙い通りの形をつくった」と話すように、その5分後の同点ゴールは、左サイドの吉賀駿斗(3年)が持ち運んだパスを重田啓佑(同)が流し込む、得意の形から生まれた。

相手のマークが厳しかった中村勇太

後半も押し込む時間はあったが、攻撃のテンポが上がらず、シュートまで持ち込むことができなかった。小野監督は「サイドから攻撃できたが、最後のゴール前に人数をかけることができなかった」と悔やんだ。再三、右サイドからチャンスをつくった中村勇太(3年)は、「ボールを持つと相手DFが複数で止めにきた。何とかしようと仕掛けたが難しかった」と打開策を見出せなかった。

守備ではGK松木明翔(同)が好セーブを何度も見せたが、警戒していたセットプレーから追加点を奪われた。2度目のリードを許してからは、守備を固めて鋭いカウンターを狙う柳ケ浦の前に、シュート1本に終わった。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、膝からがくりとピッチに倒れ込む者、あおむけになって寝転ぶ者、両手を顔に当てたまま動けない者など、大分の選手は現実を受け入れるのに時間を要した。中村は「頭が真っ白になった。何も考えることができなかったが、自分たちのスタイルは出せたと思う。ただ、このメンバーでもうサッカーができないことが悔しい」と涙を流した。守備を固めるチームに苦戦したが、大分の伝統であるパスサッカーは、見る者を魅了した。

好セーブを見せた松木明翔

(七蔵司)

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