観光都市(?)奈良のこれからを考える ⑥~大阪・関西万博は奈良観光の起爆剤になれるのか?~

万博キャラクター
みゃくみゃく

来る2025年4月13日(日)~10月13日(月)までの184日間にわたり、大阪府の夢洲で開催が予定されている「大阪・関西万博」は、奈良への誘客の起爆剤になり得るのかどうかを、私なりに考えてみます。

冒頭のイラストは、会場の完成予想図です。ひと際目立つリングを中心に、非常に洗練されたデザインだと思っています。テーマとコンセプトも下記のように設定されています。

万博のテーマとコンセプト

いわゆるお国自慢の場ではなく、世界中の様々な問題・課題の解決に向けて、さまざまな分野の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場として活用して欲しいようです。

想定来場者数は約2,820万人、経済波及効果は約2兆円と試算

時代が違いますから、一概に比較して良いものかどうかと思いますが、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げた1970年の大阪万博、いわゆる「EXPO’70」の想定来場者数3,000万人(最終入場者数6,421万人)と比較して、少し寂しいような気がしないでもありません。

余談ですが、「EXPO’70」の一日あたりの電力消費量は90万キロワットで、総消費電力は当時の奈良市全域の使用量と変わらなかったそうです。

ただ残念なことに、世界の諸事情による物価高等の影響を受け、会場の建設がはかどっていないことに加え、世界各国の万博への思いが盛り上がっていないのが現状のように感じられます。当初は153の国と地域が参加を表明していたようですが、各国それぞれの事情で、メキシコやエストニアなど、既に撤退を表明した国もあり、今後も予断を許さないのではないか、と思ってしまいます。正直、関東圏では「大阪・関西万博」の話題はほとんど出ませんし、たまに耳にしても、前向きな話ではないのが正直なところです。

万博をフックに回遊する観光、奈良県も誘客のきっかけに

しかし、そのような万博でも、開催されればそれなりの人の波が関西に向いてやってくるはずです。国内のみならず、世界中から大勢の来場が予想されます。万博見学を兼ねた旅行という位置づけの人が多いと思いますので、又とないビジネスチャンスになるはずです。

と言っても、あと1年半で奈良という受入れ側が劇的に変わることはないでしょうから、万博開催を、誘客に向けた仕組みや仕掛けを作るきっかけにしてもらいたいものです。

万博会場のイメージ図

(つづく)

(これまでの寄稿は、こちらから)

寄稿者 志茂敦史(しも・あつし) 奈良交通㈱ 東京支社長

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