三田市民病院の再編統合、推進を表明 田村市長「白紙撤回」の公約撤回 兵庫

三田市民病院=三田市けやき台3

 兵庫県の三田市民病院の再編統合計画の白紙撤回を掲げて、7月の市長選で初当選した田村克也市長が24日、一転して計画を推進する方針を表明した。同日開会した市議会本会議で「凍結してきた計画を再開する。現在地での急性期医療の存続は不可能と判断した」と述べ、公約を事実上撤回した。

 市民病院を巡っては、前市長時代に済生会兵庫県病院(神戸市北区)との再編統合方針を決定。新病院は市境に近い神戸市側で2028年度の開院を目指していた。一方、市民からは地域の中核病院の市外移転に懸念の声も上がっていた。

 元銀行員の田村市長は、再編統合に反対する市民有志らの候補者公募に応じて立候補。与野党が相乗りで支援した前市長に対し、「神戸移転の白紙撤回」などを訴え、前明石市長の泉房穂氏の応援も受けて約千票差で競り勝った。

 就任後は、市民病院の勤務医有志59人から医師不足が深刻として統合推進を求める要望書を突き付けられ、「ここまで切迫した状況とは知り得なかった」と述べて主張をトーンダウン。白紙撤回について「進めてきたことをなかったことにするものではなく、立ち止まって市民の声を聞くこと」と持論を展開していた。

 市長の表明を受け、市議会は、公約と異なる判断や不誠実な発言によって「市民を混乱させ、市政を停滞させた責任は重い」として、市長に対する問責決議を賛成多数で可決した。同決議に法的拘束力はない。

 議会後の会見で田村市長は「市民の命を最優先に考えれば再編統合しかない。公約では地域医療の充実を掲げており、辞職は考えていない」と釈明した。 (橋本 薫、土井秀人)

© 株式会社神戸新聞社