おせち商戦華やぐ コロナ禍明けお正月は大人数でワイワイ 果物、和菓子…変わり種も登場

阪神梅田本店のおせち料理の特設コーナー。取材時に残りわずかだった「阪神タイガースおせち」はその後、完売した=大阪市北区梅田1

 新型コロナウイルス感染症の5類移行後初のお正月に向け、百貨店などの「おせち商戦」が盛り上がっている。帰省の自粛が求められたコロナ禍は1人前のおせち料理がクローズアップされたが、2024年は大切な人との「だんらん」を意識した4人前以上の商品が人気に。肉やフルーツ、スイーツを詰め、見た目も楽しい「特化型」のおせちも注目だ。(中島摩子、石沢菜々子)

 阪神梅田本店(大阪市北区)に設けられたおせちの特設コーナー。ずらりと並んだお重の見本を見比べたり、カタログを持ち帰ったりする客の姿が目立った。同店ならではの「阪神タイガースおせち」は、38年ぶりの日本一に輝いた日本シリーズ終了後、二段重、三段重とも完売したという。

 オンライン予約も受け付け、1番人気は初登場の「和風・洋風・中国風 盛りだくさん 彩りおせち」(4人前、2万1600円)。三段重に50品目以上を盛り付け、バイヤー西本和也さん(48)は「行動制限がなくなり、幅広い世代で集まって楽しんでいただけるおせちです」とPRする。

 同店が扱う約300種類の中、オンライン予約で6番目に支持を集めているのが、神戸学院大栄養学部(神戸市西区)とコラボした三段重の「はな結び」(4人前、2万4801円)。「家族や世代のつながり」をイメージし、「絆を強めてもらえるように」と、子どもや若い世代にも親しみやすいメニューや盛り付け方を工夫。キムチやチーズなど発酵食品を取り入れたのもポイントだ。 ### ■冷凍おせち

 大丸神戸店(神戸市中央区)でも12月22日まで、おせち売り場を設置。阪神梅田本店と同様、お正月の「だんらん」のシーンを想定したラインアップが目立ち、今年新たに4~5人用の四段重を3点追加したという。

 自宅用だけでなく、贈り物としての需要が高まっている冷凍おせちの品ぞろえを強化したのも今年ならでは。昨年より7点増やし、計43点を販売している。

 全国に配送できる冷凍おせちの需要はコロナ禍で急増し、今年も前年の1.5倍のペースで売り上げが伸びているという。「百貨店ならではのこだわりの味を楽しんでもらえる。『大切な人とも同じ味わいを堪能したい』といったニーズも高まっている」と同店。 ### ■プレゼントに

 「特化型」のおせちも相次ぎ登場している。大丸神戸店では、ローストビーフの食べ比べができる商品(2万円)や、マカロンやケーキなどを三段に詰め合わせたスイーツづくしの商品(2万4200円)を展開。担当者は「正月に限らず、家族や友人との集まりなどにも好評」と話す。

 インターネット販売で人気なのは、京都の老舗「伊藤久右衛門」の「宇治茶 京菓子おせち」(7560円)。また、東京の「Seika フルーツギフト店」が扱う「旬の国産フルーツおせち3段重」(6980円)は、ブドウやイチゴなどが入り「全国各地から注文があり、プレゼント用にまとめ買いする人もいる」という。

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