奈良のシカ、虐待に当たらず 飼育環境の改善求め行政指導

保護施設「鹿苑」の特別柵に収容されているシカ=10月、奈良市

 国の天然記念物「奈良のシカ」の保護を担う「奈良の鹿愛護会」(奈良市)の施設内で虐待が行われているとの通報を受け、シカの健康状態などを確認していた奈良市は24日、動物愛護法が定める虐待には当たらないとする調査結果を発表した。一方、収容頭数が過密であるなど問題点も指摘し、飼育環境の改善を求める行政指導を文書で実施した。

 愛護会は、農作物に被害を与えたシカなど200頭以上を保護施設「鹿苑」の特別柵と呼ばれるエリアに収容。8月以降、愛護会の獣医師が県や奈良市に「柵内のシカに十分な餌が与えられていない」などと虐待の疑いを通報し、問題が表面化した。

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