【通園バス置き去り死事件】元園長ら2人を静岡地検が在宅起訴 園運営法人そして被害女児の父親は…

2022年、静岡・牧之原市の認定こども園で通園バスに3歳の女の子が置き去りにされ死亡した事件で、静岡地検はきょう、当時の園長と元担任の2人を業務上過失致死の罪で在宅起訴しました。

この事件は2022年9月、牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で、河本千奈ちゃん3歳が通園バスにおよそ5時間置き去りにされ重度の熱中症で亡くなったものです。警察は2022年12月、元園長とバスに同乗していた乗務員の女性、クラス担任や副担任の保育士 計4人を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

そして24日、静岡地検は、4人のうち当時バスを運転していた74歳の元園長と48歳の元担任の2人を業務上過失致死の罪で在宅起訴しました。一方、当時、通園バスに乗っていた77歳の乗務員と27歳の元副担任については不起訴処分としました。静岡地検は不起訴の理由を明らかにしていません。

事件当日、休みだったバスの運転手に代わり急きょハンドルを握った元園長。細心の注意を払うべきはずが、事件後に開かれた会見は耳を疑うものでした。

(元園長)

「ドアの方は見ました。でも後ろ側は運転席からは見えないんですよね」

Q見えなかったの?見なかった?

「見なかったです」

さらに、会見の最後には…。

(元園長)

「僕がいなくなったら(園が)さらによくなるように」

(弁護士)

「園を続けるかは決まっていない」

(元園長)

「そうか(笑)廃園になるかもしれないよね」

元園長や当時の乗務員は、バスから園児を降ろす際に確認を怠ったほか、当時の担任や副担任は、「出席アプリ」を確認せず、千奈ちゃんがいなかったことから「欠席」と思い込み保護者に連絡しませんでした。

起訴状によりますと、元園長は、園児がバスに取り残された場合、熱中症で死亡する危険があるにもかかわらず注意義務を怠り、千奈ちゃんをバスに取り残したとして、元担任は、千奈ちゃんが登園していないことを知ったあとも注意義務を怠り保護者に連絡せず、千奈ちゃんの所在を確認しなかったとして業務上過失致死の罪に問われています。

事件から1年2か月以上たって元園長ら2人が起訴されたことについて川崎幼稚園を運営する榛原学園は、「元園長及び関係者が起訴されたことを重く受け止めております」「二度と事故を起こすことのないよう、また、安全で、安心していただける園となるよう、努力いたします」などとコメントを発表。一方、書類送検された4人の起訴を強く望んでいた千奈ちゃんの父親は「ようやく刑事裁判が始まることを娘に手を合わせ報告できました」「不起訴となった2人については法的には無罪であったとしても娘の命を救うことができたと今でも強く思っています」などと話し、今後の裁判で、遺族として心情や意見を話す決意を明らかにしています。

(スタジオ解説)

この事件をめぐっては園側の“ずさんな管理体制”が浮き彫りとなっています。

事件が起きたのは2022年9月5日。当時、バスに乗っていたのは千奈ちゃんを含む園児6人と運転手だった元園長、乗務員の女性です。この2人はバスから園児を降ろす際に全員が降りたかなどの確認を怠り、結果、千奈ちゃんを置き去りにしました。さらに、この職員は「出欠アプリ」で千奈ちゃんを「出席」と入力していました。また、当時の担任と副担任も「出欠アプリ」を確認せず、千奈ちゃんがいなかったことから「欠席」と思い込み、保護者に連絡を取ることもしませんでした。事件から3か月後の2022年12月、警察は安全管理を怠ったとして、この4人を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

そして、24日、静岡地検は4人のうち74歳の元園長と、48歳の当時の担任の2人を、業務上過失致死の罪で在宅起訴しました。また、当時、通園バスに乗っていた77歳の乗務員の女性と、27歳の元副担任の女性については不起訴処分としました。

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