最大級の被爆建物、重文指定に 旧広島陸軍被服支廠、金剛峯寺も

広島市の被爆建物「旧広島陸軍被服支廠倉庫施設」=22日

 文化審議会は24日、最大級の被爆建物「旧広島陸軍被服支廠倉庫施設」(広島市)や、金剛峯寺本坊(和歌山県高野町)など9件の建造物を重要文化財に指定するよう盛山正仁文部科学相に答申した。文化庁によると、広島の被爆建物の重文指定は3件目となる。

 同倉庫施設は、外壁がれんが造りの倉庫4棟が約500メートルにわたって並ぶ。1914年に建設され、軍服などを製造、貯蔵していた旧陸軍被服廠のうち唯一現存する施設。鉄筋コンクリート造りの現存する最古級の建物でもある。変形した鉄扉など被爆の痕跡も残る。先駆的な技術で建てられ、歴史的価値が高いと判断された。

 広島県が3棟、財務省が1棟を所有。一部は解体が検討された時期もあった。耐震工事など保存への財源が課題で、重文指定により文化庁の補助金を使えるようになる。

 金剛峯寺は高野山真言宗の総本山。大門などはすでに重文だが、今回は中心をなす大主殿などの「本坊」を指定する。他は豊村酒造旧醸造場施設(福岡県福津市)など。近く答申通り告示される。

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