今年だけ?カニが“半額” 冬の高級食材がお値打ち イクラも…背景に「ウクライナ侵攻」 物価の高騰が止まらない中で格安に=静岡

物価の高騰が止まりません。2023年11月24日、総務省が発表した10月の消費者物価指数は、2022年の同じ月と比べ、3.3%上昇しました。こうした中、冬の高級食材カニとイクラが格安になっていることをご存じでしょうか。なぜ、高級食材がお値打ちに?背景にあるのがロシアの存在です。

【写真を見る】今年だけ?カニが“半額” 冬の高級食材がお値打ち イクラも…背景に「ウクライナ侵攻」 物価の高騰が止まらない中で格安に=静岡

<入船鮨 川澄真一郎社長>
「昨年に比べると、値段が下がっている。イクラなんかは最高に美味しいモノを提供できる」

静岡市葵区の繁華街にある寿司店「入船鮨両替町店」です。冬が旬の寿司ネタ、イクラの価格が下がっています。イクラは2022年より2~3割ほど下がっていて、質も良いことから注文する客が多いと言います。

<入船鮨 川澄真一郎社長>
「旬の時期の美味しいモノを食べてもらいたい」

さらにお得な食材がカニです。

<焼津さかなセンターの店員>
「さあ、いらっしゃい。いらっしゃい。今年、カニ安いから買ってって。去年より全然安くなってるからね。特売!」

焼津市の焼津さかなセンターは年末年始の食材を求め、多くの客でにぎわいます。お正月の目玉のカニが10年ぶりに値段が下がっています。

<大富水産 増田太地店長>
「ロシア産のカニだけど、去年は5000円くらいで販売していたが、今年が3500円で販売している」
Q.値下がりの理由は?
「ロシアの戦争の影響で、アメリカがロシアのカニの受け入れを拒否していて」

解決の糸口が見えないロシアによるウクライナ侵攻。2022年の6月下旬からアメリカが経済制裁の一環としてロシアを原産とするカニなどを輸入を禁止。アメリカに行くはずのカニが日本に入ってきているのです。

東京・豊洲市場の10月のズワイガニ1kgの平均取引価格は1012円。2022年の同じ月と比べ、1000円以上値下がりしています。

<大富水産 増田太地店長>
「今まで我慢していた人たちにカニを食べてもらいたい」

この夏、猛暑の影響を受け、高騰した野菜の価格は落ち着き始めています。

<安い八百屋いろいろ練習中 本店 今堀和哉店長>
「白菜は4分の1カットで、200円ぐらいする時期がありました。きょうは、2分の1カットで128円は、なかなかお買い得な金額になっている」
Q.春菊は?
「一時期、200円くらいの商品だったので、こちらも98円となっているので落ち着いてくれて、僕らもほっと胸を撫で下ろしている」

10月以降、昼と夜の寒暖差が大きくなり、野菜の生育が安定したことで出荷量が増え、価格が下がってきたのです。ただ、猛暑の爪痕が色濃く残る野菜も。鍋野菜の代表格、長ネギです。

<安い八百屋いろいろ練習中 本店 今堀和哉店長>
「生育期間が他の野菜より長め。植え付けする時期がものすごく暑かったので、その影響で生育不足」

新型コロナウイルスが5類に移行されてから初めて迎える年末年始。様々な商品の価格の変動を敏感に捉えることが求められています。

静岡経済研究所の恒友専務理事によりますと、物価高の最大の要因である円安傾向が継続することから全体的な物価高は続く見込みです。

一方で、新型コロナウイルスが5類に移行してから初めて迎える年末年始は、旅行やレジャーなどのいわゆる「ハレ消費」が、ある程度、回復するとしています。

家計を圧迫し続ける物価高は年が明けても、しばらく続きそうです。

© 静岡放送株式会社