23年度産青森県産ホタテ、水揚げ3割減見通し 稚貝不足響く/県漁連窮状訴え

小谷副知事(右端)に窮状を訴える二木会長(中央左)=24日、県庁

 青森県漁連は24日、2023年度の県産ホタテガイ水揚げ数量が約5万2千トンとなり、7万2734トンだった22年度から約3割減るとの見通しを示した。昨年10月の陸奥湾ホタテの秋季実態調査で稚貝の減少が報告されており、これが23年度の水揚げ減の要因とみられる。さらに今年生まれた稚貝にも、夏場の高水温が原因とされる大量死被害が出ており、来年度にかけて2年連続の減産となる可能性がある。

 同日、県漁連が小谷知也副知事に対して行ったホタテ養殖業に対する支援要望の場で明らかにした。

 県漁連によると、10月末時点のホタテ水揚げ実績は5万1237トンで、販売金額は126億5114万円(税込み)。このうち主力となる半成貝は3万8595トンで、22年度の5万6093トンには遠く及ばない。23年度のホタテ水揚げは、おおむね8月までに終わり、今後、数量に大きな変動は見込まれないという。

 陸奥湾のホタテ養殖では、春に生まれた稚貝を採取して育成し、半成貝の場合、翌年4~7月ごろに水揚げする。湾内の稚貝数は22年10月の実態調査で、過去10年で最少、過去10年平均の65%にとどまった。漁業関係者によると、これが23年度の半成貝の水揚げ減少につながったという。

 一方、今年生まれの稚貝も、高水温が原因とされる大量死被害が報告されている。詳細は来月判明する見通しだが、稚貝不足が来年度も続き、ホタテの生産に影響するのは確実とみられ、漁業関係者は「来年度の生産量はさらに落ち込むだろう」とみている。

 県漁連の二木春美会長は24日の要望で、稚貝不足の解消に向けた親貝の確保対策、漁業者向け融資への支援などを県に求めた。熊木正徳専務は今夏の高水温被害について「災害に匹敵する状況で、漁業者の自助努力だけでは太刀打ちできない」と訴えた。

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