「ドローン」「空飛ぶクルマ」に注目…JALが“次世代エアモビリティ事業”に取り組む理由とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。11月18日(土)の放送は、前回に引き続き、日本航空株式会社 執行役員 デジタルイノベーション本部長の野田靖(のだ・やすし)さんをゲストに迎え、お届けしました。

(左から)野田靖さん、笹川友里

野田さんは、1991年に日本航空(JAL)に入社し、大阪空港支店旅客部に配属。その後、2006年から旅客営業本部企画部マネージャー、2007年からは米州支社旅客営業部マネージャー、2012年からは海外地区販売部企画グループ長、2018年に国際提携部部長となり、2022年より現職に就いています。

◆JALが取り組む「次世代エアモビリティ事業」

JALは現在「ドローン」「空飛ぶクルマ」を“次世代エアモビリティ事業”として取り組んでいます。その理由は、「社会課題を解決するためです。例えば、日本では都市部の人口集中が進んで交通渋滞が悪化しているといった問題がありますし、一方で地方に目を向けると、過疎化が進み地方経済がどんどん縮小して、人流や物流を支える交通ネットワークやインフラが細くなってきているといった問題があります」と野田さん。

さらには“地球温暖化”“気候変動による集中豪雨”などの環境面での課題にも触れ、「『ドローン』も『空飛ぶクルマ』も空を飛行する乗り物ですから、JALとして、これらの乗り物を活用して何か社会のお役に立てないかという思いで、この取り組みを立ち上げました」と語ります。

現在、ドローンは普及が進んで身近なものになりつつあるなか、空飛ぶクルマについては、「世界で400社以上のスタートアップ企業をはじめ、さまざまなメーカーが機体の開発に取り組んでいますが、まだまだ開発段階で試験飛行の域を出ていない」と説明。

そんななか、JALはドイツの「Volocopter(ボロコプター)」と協業で事業を進めており、「機体の開発は完了していて、安全に飛行できるようになれば、空港を起点に都市部や観光地への移動などに使えるようになるのではないか」と期待を寄せます。

とはいえ、JALが最初に導入するモデルは“操縦士+乗客1人のみ”という仕様で「まだまだ、たくさんのお客さまにお乗りいただくことはできませんが、いずれは4人乗りなど、どんどん大きな形にしていきたいと思います」と展望を語ります。

一方、ドローン事業については、「空撮だけでなく、高層ビルや高速道路などインフラの点検時に活用されています。今までは、人が(建物などに)登ってヒビの有無などを点検していましたが、最近では、それをドローンで実施するケースが多くなってきています。そのほか、農家さんではドローンで効率良く農薬散布をするなどの使い方がされています」と事例を紹介します。

◆「空飛ぶクルマ」の実用化で何が変わる?

ドローンや空飛ぶクルマといった次世代エアモビリティが今後実用化されていくためには、法整備をはじめ、さまざまなハードルがありますが、野田さんは「ドローンも空飛ぶクルマも、まずは“安全”に飛ばすことが大前提。そのうえで、機体の安全性に加えて、例えば、万が一に不具合が生じた場合に航空機のように安全に着陸できるかなど、運航管理や安全管理システムの構築が必要ですが、これらについてはJALが長年にわたり航空分野で培ってきたノウハウを活かして作り上げているところ」と力を込めます。

さらには、「我々がいま一番大事だと思っているのは、この乗り物が、社会の皆さまにどれだけ受け入れていただけるかということ。どんなに便利な乗り物であっても、安全面はもちろんのこと、騒音やプライバシーといったことへの配慮があって、初めて社会に受け入れていただけると思っています。そのためにも、しっかりとしたルール作り、制度作りに取り組むとともに、『この乗り物は、このように安全で便利なんです』といったコミュニケーションを丁寧におこなっていく必要がある」と語ります。

そして、こうしたモビリティの開発によって、「例えば、海外から日本に来られるインバウンドの方が、成田空港や羽田空港に着いて、箱根や軽井沢などに『空飛ぶクルマ』でダイレクトに行ける。こういった世界が来ると思っています」と期待を込めます。

前述したように、現段階でJALが開発している「空飛ぶクルマ」は“操縦士+乗客1人”という状況ですが、「今後(さらに開発が進んで)4~5名が乗れるようになったとしても、座席は航空機と比べて比較にならないぐらいに少ないため“いかに多頻度で飛ばせるか”が、ビジネスを作り上げていくうえでの大事なポイントだと思っています」と声を大にします。

さらなる飛躍を遂げるためにも「基本の航空移動をしっかりとおこなったうえで、こういった新たなモビリティでつなげていく大きなビジネスに発展していければ」と語っていました。

次回11月25日(土)の放送は、株式会社丸井グループCDOの相田昭一(あいだ・あきかず)さんをゲストに迎えてお届けします。小売のDX最前線についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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11月18日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年11月26日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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