<インタビュー>中村俊輔コーチが語る!「自身のチーム作り」「ストライカー育成法」「その日使うスパイクの選び方」

11月3日に神奈川県横浜市内で開催されたadidasフットボールの「レジェンドクリニック」。

そこで講師を務めたのは、昨シーズン限りで現役を引退し、現在は横浜FCでコーチとしてのキャリアを歩んでいる元日本代表の中村俊輔氏だった。

レジェンドクリニックは、講師となる"レジェンド”がこれまでの経験をもとにトレーニングの目的や内容に沿った形でチームにアドバイスをする企画だ。

この日は横浜市立東高校サッカー部がトレーニングを行い、中村氏がピッチ脇で鋭い視線を送っていた。

紛れもなく日本サッカーのレジェンドである彼が、これからどんな指導者になっていくのか―。Qolyから指導に関する質問をいくつかぶつけてみた。

――ここ20年でサッカーは大きく変化しました。今後どんな風に変わっていきそう、みたいなイメージって中村さんの中にありますか?

現代のサッカーを見ているとすごく、勉強になりますよね。

スペースをどう使うかとか、ニアゾーンのポケットのところなんて…あそこを使おうとするチームなんてなかったじゃないですか。それまではオーバーラップでセンタリングだった。サイドハーフが中に入って、そういうのを意識させる。漠然とはやらない。全部それが意図的にできているチームが強いんだと思います。

意図的に何かをする。それも個人ではなくグループで。そういうのはずっと変わらないと思うので、自分だったらこういうサッカーをしたいなというのは基本的にないです。

(チームに)いる選手…預けてもらったら、その中で一番魅力あるようなサッカーは何かというのは探したいと思いますけど、それ以前に「意図的に何かを作り出すこと」が大事だと思います。

――昨今、欧州クラブでは「ストライカー」の活躍が目立ちます。そういった選手を育てるため、中村コーチなら見込みのある選手がいた時にどうアプローチをしていきたいです?

色々なフォワードの人を見ましたけど、今は得点だけ取ればいいというわけじゃないですからね。しっかりプレスもできて、後ろと連動しながらの守備もしなくてはいけない。

でもやっぱり、点を取るためのメンタリティってあるじゃないですか。そこはすごく大事だと思います。そしてそれは、育てられると思うんですよね。技術とか云々よりそこが一番かな。

日本に限らないと思いますが、負けないために、チームが弱かったら「守備頑張れよ」と言って実際に頑張るようなFWを入れたりします。やっぱりカテゴリーが落ちないためにやらざるを得ない部分はありますけど。

守備をしないけどすごくゴールの感覚はある。ただやっぱり強い相手には決められない、大事なとこで決められないとなると、日本人でよく働く小さめのアグレッシブな選手のほうが出したくなりますよね。

働き蜂だけど点が取れない選手と、めちゃくちゃ点を取るセンスはあるけど守備をしない。両方ともどうにかするような…。

ただそれはその選手一人だけでは無理なので、周りとの関係性が大事。FWってそうなんです。強いチームでやたら点を取る選手いますけど、それはボックス内にボールが来るからなんですよね。

――ちなみに、中村さんは現役の頃からスパイクにすごくこだわりがあったと思いますが…。

こだわりというか(笑)、他の人と一緒だと思いますよ。

――試合当日、実際に履くスパイクはどういう基準で選んでいました?

何足か持っていって、その時のグラウンドの状況とかフィーリング…フィーリングです。どれも全部履きたいので。

別に何でもどれでも大丈夫ですし、そういうスパイクがあるというのはモチベーションが上がりますね。

自分のスパイクが…好きなスパイクが並んでいて、10番のユニフォームがあって。自分の武器というか“戦闘服”みたいなものでしょ。そりゃモチベーションが上がります。

――スパイクで好きな色とかは?

何でも大丈夫です。でもなんか黒ってちょっと自分の中で…普通は黒なんですけどね、スパイクは。

でもなんか明るいほうが良くなってきたかな。黒と白以外が良いというイメージは何となくありました。

この日も初めて履く『コパ ピュア 2』の感触を楽しんでいた中村俊輔氏。

好きなスパイクと10番のユニフォームが並んでいて、モチベーションが上がらないわけがない、というのは実に彼らしい言葉だった。

そんな中村氏も講師を務める、adidasのレジェンドクリニックは今後も定期的に開催される予定。

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なお、中村氏は12月17日(日)に中村俊輔引退試合「SHUNSUKE NAKAMURA FAREWELL MATCH」に出場する。チケットの一般販売は本日11月24日(金)から開始されている。

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