金大医学類旧書庫を答申 国登録有形文化財 四高門衛所も

洋書などを保管していた金大医学類の旧書庫=金大宝町キャンパス

 文化審議会(佐藤信会長)は24日、金大宝町キャンパス(金沢市宝町)にある医学類旧書庫(旧制金沢医科大学附属図書館書庫)、石川四高記念文化交流館(旧第四高等中学校)の旧門衛所(金沢市広坂2丁目)など、38都道府県290件の建造物を有形文化財に登録するよう盛山正仁文部科学相に答申した。石川県内では金沢市の10件が答申され、うち5件は金大宝町キャンパスの建物。登録されれば県内の登録有形文化財は299件、全国では1万4035件となる。

 県内ではこのほか、旧石川家住宅の主屋と門・土塁(金沢市小立野2丁目)、三浦家住宅の主屋と土蔵(同市東山3丁目)が答申された。

 金大医学類旧書庫は1926(大正15)年に完成した鉄筋コンクリート造り3階建てで、四隅には二重の溝を彫る装飾を施す。書棚や書籍運搬用の昇降機が残っており、6万冊を収蔵できたとみられる。

 26年完成の病理標本庫、34(昭和9)年にできた解剖標本庫、宝町キャンパスに旧制金沢医学専門学校ができた12(明治45)年から残る西面南旧正門・れんが塀と西面北れんが塀も答申された。

 金大の和田隆志学長は「建物は先輩が残した財産。知の象徴として活用する方策を考える」と話し、耐震工事や天井の修繕を行う予定だという。

 石川四高記念文化交流館の旧門衛所は、国指定重要文化財の旧第四高等中学校本館が建てられた2年後の1893(明治26)年に整備された。木造平屋建てで、改修を経て、今年10月に石川県のミュージアムショップ「ゲート4」としてオープンした。

 旧石川家住宅の主屋は1929年に建てられた退役陸軍大佐の住宅で、外観正面と応接室は洋風、ほかは和風となっている。三浦家は金沢箔の発展に貢献した一家で、主屋は45年にでき、57年に増築された。いずれも当時の住宅地の景観を伝える貴重な建物として評価された。

石川四高記念文化交流館の旧門衛所=金沢市広坂2丁目

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