公調委裁定に不服、提訴へ 産廃不法投棄で賠償命令 茨城・稲敷市

稲敷市役所=同市犬塚

国の公害等調整委員会(公調委)が茨城県稲敷市内に不法投棄された産業廃棄物について同市と埋め立て業者らに賠償金約2000万円を支払うよう命じた裁定を受け、市は24日、裁定を不服として、賠償金支払い義務がないことの確認を求める訴訟を水戸地裁龍ケ崎支部に起こす方針を示した。同日の市議会全員協議会(全協)で明らかにした。

同市小野地区の住民15人らが、不法投棄の産業廃棄物で生活環境が汚染されたとして、市と業者らに賠償を求める裁定を公調委に申請。公調委は両者が連帯して賠償金を支払うよう命じていた。

全協で市側は、公調委から事業者の申請を調査しなかったと指摘された点について、「産業廃棄物の中間処理業者は千葉県の許可業者だった」ため、調査しなかったと反論。許可された土地以外の埋め立てを市が阻止しなかったと判断された点についても、「撤去命令や刑事告発を行っている」と強調した。

裁定文書の配布は、この日の全協が初めて。市議からは「今日初めて内容を聞いた。裁定の重みを分かっているのか」「議会軽視では」と指摘が相次いだ。

市側は当初、全協後に市議会臨時会を開き、提訴に関する議案を提出予定だったが、全協が紛糾したため臨時会を開けなかった。今後、議会運営委員会で臨時会の日程を調整する。

筧信太郎市長は「説明不足だった」と陳謝した。

© 株式会社茨城新聞社