JR芦屋駅南の再開発、完成1年先延ばしへ 万博控えた人手不足など踏まえ

高島崚輔市長

 兵庫県芦屋市は24日、JR芦屋駅南地区の再開発事業について、2028年9月とした完成予定を1年程度延ばす方針を明らかにした。計画の一部見直しに伴う再公募に応募した業者が8月に撤退。大阪・関西万博を控えた建設業界の人手不足などを踏まえ、現時点でさらに公募するのは難しいと判断した。今後、総事業費などを見直し、来春に3回目の公募を行う。

 市議会建設公営企業常任委員会で説明した。計画では、再開発でバスロータリーを含む交通広場を整備し、住居や公益施設が入る地上11階、地下2階建てのビル2棟を建設する。

 計画は前市長時代に議会の承認が得られず、約2年にわたって停滞。見直しを掲げて4月に初当選した高島崚輔市長は、基本的な計画を維持しつつ、緑地を増やして図書館を設ける考えを示している。

 市は工事を担う民間業者(特定建築者)を7月から再募集し、1社が応募したが「見積額が市の予算を大きく上回る」などとして辞退した。その後、市が複数業者に行ったヒアリングで、万博工事による人手不足や、計画が確定しないことに難色が示されたという。

 市は次の公募に向け、資材や人件費の高騰を踏まえて総事業費を見直し、計画の変更点も可能な限り明らかにする。高島市長は、工期に与えた影響を「ゼロではないが、民意に応えるのも責務」と述べ、「懸念を解消し、応募してもらえる状況をつくりたい」とした。(広畑千春)

© 株式会社神戸新聞社