本物の音を生む型破りなスピーカー 音響マニアもうなる知名オーディオのこだわり【11月18日~24日 タイムス+プラスのみどころ】

 中学時代に吹奏楽に打ち込んでいたこともあって、今でもユーチューブなどで全国各地の学校やプロのブラスバンドの名演を視聴して楽しんでいます。

 「吹奏楽の神様」と呼ばれ、赴任校を次々と全国トップレベルに押し上げた沖縄県出身の故屋比久勲さん(享年80)は、かつての取材に並々ならぬ音色へのこだわりを語っていました。自身の恩師の教えも踏まえ「音は絶対的なもの。音楽づくりはそれぞれ個性があっていいが、音に個性はない。各楽器の絶対的な音を目指して努力を重ねるのだ」と。

 そんな屋比久さんの信念を思い浮かべながら「これで屋比久サウンドを堪能してみたい」と思った知名オーディオ(知名御多出横、本社・沖縄市)の音響装置。その誕生秘話が、今週のウェブコンテンツで紹介されています。

電気溶接する知名宏師さん

 とにかく、脇目も振らず生の演奏音を追求し続けた創業者の知名宏師さん(76)の職人気質ぶりに敬服。型破りな一級品は、目から鱗の発想力と探究心、情熱によって形になっていくと感じました。

 取材・執筆した東京報道部の照屋剛志記者によると、知名オーディオのスピーカーは音に雑味がなく、円筒状のパイプから360度の全方位へ音が拡散することで、まるでコンサート会場にいるような没入感に浸れるそう。

 同社の製品は、実は那覇市久茂地のタイムスビル内にもあります。現在の円筒状モデルとは異なりますが、煙突のようなシルバーのシンプルなたたずまいがインテリアとしても超おしゃれ。

 高価な買い物だけれど、全国に熱狂的ファンがいるのもうなずけます。メイドイン沖縄のサウンドが世界で鳴り響く日が楽しみですね。

タイムスビル内にある知名オーディオのスピーカー=2023年11月24日、那覇市久茂地

「悪習」断ち切って

 耳を疑いました。続いては浦添市議会で、議案に賛成の立場で議員が意見を述べる賛成討論の文面を市側が作成し、与党系の市議に提供していたとのニュースです。

 2023年9月までの約10年間に105件を作成したというから、その常習性と、10年も自浄作用が働いていなかったことに言葉を失います。 

浦添市の執行部が作成した賛成討論の文面。松本哲治市長の信条をそのまま引用した一文もある

 当然ですが、議会は行政の追認機関ではありません。与野党に関係なく、緊張感を持って予算や事業をチェックするのが役目。「悪習」はすぐに、断ち切ってください。  

 浦添市といえば、松本哲治市長が動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の市公式アカウントに投稿した内容が「女性蔑視に当たる」などと批判され、10月いっぱいで投稿を終了したばかり。

 市民感覚とずれた行政や議会運営に陥っていないか。浦添市はもちろん、他の市町村でもそれぞれの取り組みを省みるきっかけにしてほしいと願っています。 

埋もれた男性たちの声

 11月19日は、男性の心身の健康やジェンダー平等を促す「国際男性デー」でした。この記念日に合わせて配信されたコンテンツが、性暴力に遭った男性たちの告白。旧ジャニーズ事務所の創業者による性加害問題が明るみになった中、小学5年の時に教員から性被害を受け、今も深い心の傷に苦しむ男性らが体験を語りました。

 「男性は性被害に遭わない」という偏見や思い込みが、問題を潜在化させる大きな要因になってきました。誰もが加害者にも被害者にもならないよう、タブー視や黙認をせず、性暴力を許さない社会をつくっていく決意と行動が、私たち一人一人に求められています。

被害経験のある男性。「男性が被害に遭うことは特殊ではない」と話した=2023年11月、那覇市・沖縄タイムス社

 最後に。前週の「デジ編チョイス」は、アルコール関連問題啓発週間(11月10日~16日)にちなみ、飲酒やアルコール依存絡みのコンテンツが取り上げられていました。生粋のビール党で、クラフトビールにはまっている筆者。忘年会シーズンを前に、適正量や休肝日を意識し、体をいたわろうと改めて誓いました。

 それでは皆さま、この辺で。今週はデジタル編集部の新垣綾子が担当しました。

© 株式会社沖縄タイムス社