国登録文化財に「旧松野家住宅」(佐賀市大和町) 明治期の村長宅

明治期に建てられた「旧松野家住宅(野口家住宅)」=佐賀市大和町梅野

 文化審議会は24日、明治時代に松梅村(現・佐賀市大和町松梅)の村長を務めた松野作一の住宅「旧松野家住宅(野口家住宅)」(佐賀市)を登録有形文化財にするよう、盛山正仁文部科学相に答申した。近く答申通り告示され、佐賀県内の登録(建造物)は52カ所、131件となる。

 対象は旧松野家住宅敷地のうち、1909(明治42)年頃に建てられた母屋をはじめ、座敷と物置を備えた明治前期の小屋、これを囲むように配された大正前期の門柱と石垣、同じ頃に作られて1965(昭和40)年頃に改修された取水池の4件。

 母屋は木造2階建てで、桟瓦葺(さんかわらぶき)。入母屋造り屋根を直交させ、平面はL字型。内装は玄関入口の式台や、拭漆(ぬぐいうるし)塗り仕上げの仏間などを備えており、家格を示すしつらえが残る。

 また、別棟の小屋は木造つし2階建て、桟瓦葺で、座敷と物置を備える。座敷は地域の若者たちが活動する青年組の宿としても用いられ、この地方の習俗を伝える。石垣は角を「しのぎ積み」とし、取水池も当時の石材加工技術の高さを示している。

 今回の答申では、新たに38都道府県の290件が選ばれた。神田川を渡る地下鉄用の橋梁「東京地下鉄丸ノ内線御茶ノ水橋梁」(東京都千代田区)や、現在は文化庁の京都庁舎として使われている「旧京都府警察本部本館」(京都市)などが含まれている。

 告示後、建造物の登録有形文化財は全国で1万4035件となる。(古賀史生)

母屋や小屋を囲む石垣や門柱も国登録有形文化財に指定された

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