身が大きくぷりぷり、旬のカキに舌鼓 赤穂、たつのでブランド化加速 直売所やバーベキュー営業開始

ふっくらとした身が特長の赤穂のカキ(赤穂市漁業協同組合提供)

 冬の味覚、カキの水揚げが兵庫県の播磨灘西部で本格化しつつある。他産地では3年がかりの養殖が主流だが、西播磨は海水の栄養分が豊富なため1年で育つのが特長。赤穂、相生、たつのの沿岸部では養殖業者の直売所が軒を並べ、バーベキューなどの飲食店も続々と今季の営業を始めている。(小谷千穂、豊田 修、直江 純)

 

■赤穂

 今年9月、赤穂市坂越の養殖カキ「坂越かき」が、特許庁の地域団体商標に登録された。この機会を逃すまいと、同市漁業協同組合は店頭の看板やポスター、商品に貼るシールを新調しPRに注力している。

 同市内のカキ生産者は現在17軒で、うち16軒が「坂越かき」のブランド化に取り組む。

 11月中旬にはカキ養殖業の冨田水産(同市坂越)で、黒地に白い文字で「坂越かき」と書かれたラベルを、むき身用の発泡スチロール箱に貼り付ける作業が進められた。冨田崇史代表(54)は「神戸の市場など都市部に出しても、全国のブランドカキに負けないくらい目立ってくれるだろう」と期待する。

 播磨灘の「1年牡蠣(かき)」は身が大きくふっくらとし、加熱しても縮みにくいのが特長。今年は夏から高水温が続いた影響で10~11月の水揚げはやや不調だったが、冬に向けて順調に成長しているという。

 漁師らが直営する「海の駅しおさい市場」(TEL0791.46.8600)では、野外テーブルで殻付きの焼きガキを提供。70分間食べ放題で、中学生以上3600円、小学生以下1900円、幼児900円。

 同漁協は直販所も開設している。午前9時~午後4時。電話やファクス、公式サイトでも注文できる。坂越かき直販所TEL0791.48.8611

 

■たつの

 奈良時代から天然の良港として知られるたつの市御津町の室津港では、室津漁協の生産者15軒がカキを養殖している。東隣の岩見漁協は産地としては後発だが、近年2軒が加わり計6軒が生産している。

 12日に開かれた「室津ふるさと祭」では、カキいかだを間近で見られる遊覧船ツアーを企画。家族連れらが潮風に吹かれながら景観を楽しんだ。

 今月下旬からは直販店が続々と営業を開始。「道の駅みつ」(TEL079.322.8500)ではカキ食べ放題のバーベキュー(中学生以上3800円、6歳以上2千円、5歳以下無料)が人気で、殻付きカキやむき身の販売もしている。

 養殖業者直営の「津田宇レストラン」(TEL079.324.0918)は23日から開店4周年記念キャンペーンを始めた。飲食やカキ直売など計1万円以上の購入者にオリジナルエコバッグをプレゼントする。

 新型コロナウイルス禍まで恒例だった「室津かきまつり」は2漁協合同セール「たつのかきフェア」に模様替えしており、来年2月にも開催予定。市も協力し「室津かき」「岩見かき」のブランド定着を目指す。

 

■相生

 相生漁協では生産者22軒がカキを養殖。10月中旬から、水揚げが始まった。

 JR相生駅前の観光案内所では、今月下旬から「相生かきMAP」を無料配布する。市内でカキ料理を提供する31店を掲載しており、各店のカキ提供開始時期なども紹介している。12月15日から2月20日までに掲載3店を巡ると、抽選で相生の特産品が当たるスタンプラリーも開催する。

 網元漁師直営の「焼がき 大豊」(TEL0791.22.6777)では、バーベキューが楽しめる。45、60、90分の3コースで、90分コースは中学生以上3500円、小学生2千円。

 同市では毎年2月に、市内外のさまざまなカキ料理が味わえる「相生かきまつり」を開いている。今年2月は「相生かきフードフェス」が催され、約8千人が網焼きなどに舌鼓を打った。市などは来年も相生産かきを楽しめるイベントを実施する予定という。

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