ネット上の誹謗中傷、絶対に許さない…戸田市が条例案 罰則なしの「理念条例」 専門相談窓口設置も検討

戸田市役所=埼玉県戸田市上戸田

 埼玉県戸田市の菅原文仁市長は24日の定例会見で、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷を防止し、市民への啓発を行う「市インターネット上の誹謗中傷等の防止に関する条例」の制定を目指す条例議案を、28日開会予定の市議会12月定例会に提案すると発表した。可決されれば同様の条例制定は県内初とみられる。

 プロレスラーの木村花さんが交流サイト(SNS)で誹謗中傷されたことを苦に自殺した事件をはじめ、インターネット上で他人の感情を傷つけることや、プライバシーの侵害などの人権侵害が社会的課題となっていることが条例案提出の背景にあると説明。市民が被害者に、あるいは加害者にもならないよう条例を制定するとしている。

 基本的施策として、問題への市民の理解を深めるため、専門弁護士による講演会や、動画による情報配信などを実施。インターネットリテラシー向上のため、子どもや保護者に啓発教育を行うほか、被害に遭った場合などに利用できる、弁護士による専門的相談窓口の設置も検討する。

 罰則は設けずに、インターネットの適正な利用を呼びかける理念条例。

 会見で菅原市長はSNSをはじめとするインターネットが市民にとって身近で便利であるとする一方で「被害を受けるリスクと隣り合わせでいることを理解した上で、うまく利用しなければならない」とも指摘。「戸田市ではインターネット上の誹謗中傷を、絶対に許さないという決意をもって本条例を定める」と述べた。

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