極彩色の須弥壇 荘厳今に/弘前・最勝院五重塔 20年ぶり内部公開

五重塔の1階内部を見学する後援会の会員ら。本尊の撮影は禁止された=25日午前10時50分ごろ、弘前市の最勝院
20年ぶりに内部が公開された最勝院五重塔

 青森県弘前市銅屋町の最勝院(布施公彰住職)で25日、国指定重要文化財「最勝院五重塔」の内部が2003年以来20年ぶりに公開された。弘前市立博物館後援会の研修に合わせて行われ、参加した関係者が極彩色の「須弥壇(しゅみだん)」などに見入った。布施住職は「市の宝を守る後援会の皆さんに興味を持ってもらうことで、文化財保護の一助になれば」と話した。

 五重塔は戦乱で亡くなった人々を供養しようと、3代藩主津軽信義、4代藩主信政の寄進を受け1656(明暦2)年に着工、67(寛文7)年に完成した。内部は通常非公開だが、後援会の会員から「市内の文化財について学びたい」と要請を受けて、この日会員限定で公開した。

 会員ら約25人は広さ約30平方メートルの1階回廊に入ると、本尊が安置されている須弥壇の赤や緑などの極彩色で彩られた模様に見入った。塗料は建立当時に塗られたもので、塗り直しなどはしていないという。

 布施住職は「ここまで鮮やかな須弥壇はなかなかない。津軽家の威信にかけて、どこにも負けないものにしたかったのでは」と解説。会員らは本尊に向かってそっと手を合わせていた。見学した神映子さん(63)は「本尊がとてもきれいな顔をしていて感動した」と話した。

 五重塔は03年、現在の本尊の「入仏」を祝い開帳したが、その後は公開していない。布施住職は「(五重塔内の)本尊はいわば仏様の体。興味本位で見せるものではない」とした上で、文化財保護推進の一環で行ったこの日の公開について「興味を持って話を聞いてもらえてよかった」と話した。

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