海の幸の宝庫
知多半島の南端にある南知多町は伊勢湾と三河湾という2つの湾に面した海の幸の宝庫。そんな南知多町には、地元民だけが楽しんでいるご当地食材があるといいます。
伊勢湾や三河湾で獲れる「アカシャエビ」
生きたまま調理
その1つが「生きたアカシャエビ」。アカシャエビとは伊勢湾や三河湾で獲れる小型のエビの総称で、えびせんべいなどの材料として親しまれています。
水揚げするとすぐに死んでしまうため、一般的にはアカシャエビを加工せずに食べる機会がありません。しかし、アカシャエビ漁を営む漁師が暮らす南知多町・篠島では、生きたままのアカシャエビをさまざまな料理に調理して楽しむそうです。
「打瀬網漁」という漁法で漁獲
夜から朝にかけて収穫と選別を繰り返す
篠島では、島独自に進化した「打瀬網漁」という漁法で行われているアカシャエビ漁。網にかかっただけで死んでしまうこともあるという繊細なアカシャエビですが、専用の網を用いて低速で船を運航させることで、アカシャエビを生きたまま獲ることができます。
アカシャエビの漁が行われるのは夕方から朝にかけて。夜行性のため、夜の暗い海上で網を揚げては収穫と選別を繰り返していきます。
エビ漁師歴40年のベテラン漁師に密着
プリプリのアカシャエビを試食
エビ漁師歴40年の鈴木益之さんの船に同乗し、アカシャエビ漁の様子を取材。すると鈴木さんが海から揚げたばかりの生きているアカシャエビの皮をさっと剥いて「食べてみて」と差し出してくれました。
生きたままのアカシャエビは、プリップリの身にエビのうまみがギュッと濃縮。海の上でしか堪能できない「甘エビよりも甘い」と思うほど、風味豊かな味わいです。
漁師が楽しむ「残酷揚げ」とは
生きたままのアカシャエビを油の中に投入!
そんな甘いアカシャエビを最高においしく食べる漁師エビが「残酷揚げ」。生きたままのアカシャエビに小麦粉をまぶし、そのまま熱した油の中へ。ほんの少しの塩で味を付ければ、ダイレクトにエビを感じる「エビのほぼ素揚げ」が出来上がります。
アカシャエビのかき揚げ
さらに篠島のごちそうとして食べられているのが、アカシャエビだけを使ったかき揚げ。水で溶いた天ぷら粉でアカシャエビを和え、油の中でカリッと揚げればエビ本来の赤色が美しいかき揚げの出来上がりです。
生で食べるよりもエビの風味が膨らみ、エビのおいしさ丸ごと味わえるアカシャエビのかき揚げ。篠島では「かき揚げうどん」や「かき揚げ丼」として楽しむそうです。
絶品の刺身が盛りだくさん
アカシャエビ以外にも、篠島の漁師の家にはおいしい海の幸がたくさん! タイやアジ、イカとともに、フグの薄造りも食卓に並びます。篠島はフグの産地でもあることもあり、フグの調理免許を取得した奥さんが家庭でもフグをさばくそうです。
マメダイの煮付け
篠島ならではの漁師めしがマメダイの煮付け。漁の際に網にかかってしまう小さな魚も、家庭でおいしく料理するのが篠島では定番なんだとか。一度漁に出てしまえばどんな魚でも食卓に並ぶ篠島は、まさに「海の幸の宝庫」でした。