神奈川の預貯金詐欺急増2.2倍 被害額、特殊累計は15.6%増の約35億3400万円

県内の特殊詐欺の被害額の推移

 神奈川県警は1~10月に認知した特殊詐欺の統計(暫定値)で、累計被害額が前年同期比約15.6%増の約35億3400万円に達したと発表した。件数は約8.2%増の1686件で、依然高止まりの状態が続いている。警察官や金融機関職員などを装ってキャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」が急増しており、被害額は約2.2倍の約4億1400万円となっている。

 預貯金詐欺は「キャッシュカードの交換手続きが必要」などと言ってキャッシュカードや通帳を詐取して現金を引き出す手口で、10月までに269件(前年同期比2.2倍)を認知した。このうち約7割(196件)が6月以降に発生。月別の認知件数は10月が47件で最も多く、次いで7月44件、9月41件、8月35件、6月29件となっている。

 県警生活安全総務課の担当者は「職員らがキャッシュカードを預かることや暗証番号を尋ねることは絶対にない」と強調。固定電話の留守番電話の活用や迷惑電話防止機器の設置を呼びかけるほか、「不審な電話があればすぐ身内や警察に相談してほしい」と促す。

 親族などを装う「おれおれ詐欺」の被害額は、約10.0%増の約17億9600万円。手口としては「かばんを紛失した」と偽り現金をだまし取るケースが最多で、約1.2倍の314件に上った。医療費などの還付金名目で現金を振り込ませる「還付金詐欺」の被害額は約19.4%減の約5億7300万円、「架空料金請求」は約45.5%増の約4億1400万円だった。

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