伊達さゆり、実況を務める宮沢役で「一人一人の名前を叫ぶ時には、自然と皆さんの表情が浮かびます」――「下剋上球児」インタビュー

TBS系では連続ドラマ「下剋上球児」が放送中。鈴木亮平さんが「日曜劇場」枠で約2年ぶり2度目の主演を務め、高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描くドリームヒューマンエンターテインメントです。

ここでは、越山高校の放送部に所属し、野球部の試合では実況も務める宮沢役の伊達さゆりさんにインタビュー。宮沢を演じる上で意識していることやドラマ初出演にあたっての心境はもちろん、初めての挑戦となった実況についても語っていただきました。

――本作に出演することを聞いた時の状況や、当時の気持ちをお聞かせください。

「ある日、突然マネジャーさんに呼び出されて出演が決まったことを聞きました。舞台作品には一度出演させていただいたことがあるのですが、普段は声優として活動しているため全く想像していなかった報告で。何が起きているのか理解が追いつかないくらい驚きました」

――出演発表後はどのような反応がありましたか?

「SNSで出演告知をした時に、いつも応援してくださっている方々から『伊達ちゃんがドラマに挑戦するなんて!』とたくさん連絡がきました。両親の職場の方からも『すごいね! 見るよ!』と言っていただけて不思議な感覚でした。告知に使っていただいた宮沢に扮(ふん)した私の写真を見ても、自分の顔なのに違う人を見ているような感覚で、皆さんと同じくらい驚いていたと思います」

――放送後はどんな反響が届きましたか?

「『見つけたよ!』と教えてくださる方がたくさんいてうれしかったです。第2話では試合シーンの実況もさせていただいたのですが、顔が映っていないにもかかわらず『声が聞けてうれしかった!』と言ってくださる方も。実況自体も初めての経験だったのでドキドキしていましたが、そのように言っていただけて安心できました」

――作中で実況をすると知ってから準備したことはありますか?

「野球はすごく好きなのですが、実況ができるほどは詳しくなかったので、出演が決まってからは試合実況に今までよりも耳を傾けて自分なりに役作りをしていました」

――クランクイン初日は緊張されましたか?

「第1話のグラウンドの竣工式で話すシーンがクランクインのシーンで、いざ本番を前にして鳥肌が立ってしまいました。しかも、スタートの声が掛かった瞬間に覚えたはずのセリフが飛んでしまって…。今までそんな経験はなかったので、どう持ち直していいかが分からず、頭が真っ白になってしまいました…!」

――宮沢を演じるにあたって心掛けていることはありますか?

「クランクイン前に宮沢の役設定資料をいただいたのですが、そこに“アナウンサーを目指している女の子”と書いてあって、彼女が越山高校に入学することになった経緯も知ることができました。私はアナウンサーではありませんが、声優をやらせていただいている立場として、宮沢を作中で生き生きとさせてあげたいなと思っています。将来、彼女がどんな道を歩んでいくか分かりませんが、いつかアナウンサーになってくれたらいいなという思いも込めて演じています」

――塚原あゆ子監督とのやりとりで印象に残っていることはありますか?

「ドラマの現場が初めてだったので本当に未知の世界でしたが、塚原さんがとても優しくて、いい意味で自由にやらせていただいていると思います。『伊達さんが考える宮沢ちゃんでやってほしい』という思いが遠回しに伝わってきました。第2話では(生瀬勝久演じる)横田宗典監督にちょっとツッコミを入れるシーンがあったのですが、そこの言い方を自分なりに工夫して変えてみたらオッケーをいただいて、うれしかったです」

「最後まで見ていただけると、第1話から見返したくなるような細かなにおわせが散りばめられています」

――南雲脩司役の鈴木さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。

「第1話で南雲先生からペットボトルを渡していただいた場面、現場で急に言われたシーンだったので、私のリアルな驚いた顔が映っています。撮影の直前には鈴木さんから『伊達さん! 宮沢ちゃんって呼んでいいんだっけ?』と話しかけてくださいました。顔合わせの時に一度しかごあいさつしたことがないのに、名前を覚えてくださっていて感動しました」

――小日向文世さんや生瀬さんとの共演シーンもあったかと思いますが、何か交流はありましたか?

「以前からテレビで見ていた方々が隣にいらっしゃるというすごい状況だったので、お芝居する時はドキドキが止まりませんでした。撮影中、小日向さんの前に演出用の果物が置いてあって、カメラが止まった瞬間に『時間がたっていないとおかしいから食べて!』とマスカットをいただいたのがうれしい思い出です。生瀬さんはご自身のセリフで自由自在にアドリブを入れていて、すごいなと思いながら聞いていました」

――球児たちのプレーは実際に見られましたか?

「実際にプレーを見ながら実況シーンを撮ったわけではなかったのですが、『下剋上セレクション』をすべて拝見させていただきました。皆さんが本作に挑む覚悟が伝わってきていたので、それを見た上で放送を見るとなおさら感動できます。皆さんががむしゃらに野球に食らいついていく姿に、私も毎週涙が止まりません」

――オーディション風景を見たからこそ、実況に力が入った部分はありますか?

「オーディションでの努力を見させていただいたからこそ、バットを振ったりボールを投げたりしている時の表情を想像しやすかったです。実況では球児たち一人一人の名前を叫ぶことがあるので、その時には自然と皆さんの表情が浮かびます」

――球児たちと一緒に学校に通っている生徒目線で、今後の見どころポイントがあれば教えてください。

「最後まで見ていただけると、第1話から見返したくなるような細かなにおわせが散りばめられています。宮沢はずっとクマのぬいぐるみを身につけているのですが、その理由も最後まで見ていただけると分かると思います。私だけではなく『ここもつながっていたの?』と思える部分がたくさんあると思うので、何度も見返してもらえたらうれしいです」

――宮沢が進級するにつれて成長する部分はありますか?

「今までは1人で実況席から球児たちに声を掛けていましたが、今後は学年が上がっていって、徐々に球児の皆さんとも仲が深まっていき、皆さんと会話をするシーンも出てくる予定です。実況では敬語を使っている宮沢が、時が進んだ球児たちとの会話で、どんなくだけた一面を見せるのか期待していてほしいです」

――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

「初めてのドラマ出演に自分なりの課題がたくさんありますが、私のことを知らない方も、放送を見て『実況があって分かりやすかった』とコメントしてくださる方がいらっしゃって、とても励みになっています。高校野球がテーマではありますが、野球に限らず皆さんが日々頑張っていることにも重なり、心に刺さる作品になっていると思います。球児の皆さんががむしゃらに頑張っている姿に勇気をもらえると思うので、ぜひ最後まで見ていただけるとうれしいです!」

【プロフィール】

__伊達さゆり(だて さゆり)
__2002年9月30日生まれ。宮城県出身。A型。アニメ「ラブライブ!スーパースター\!\!」(NHK Eテレ)の澁谷かのん役で声優デビュー。同作に登場する架空の11人組女性スクールアイドルグループ「Liella!」にも所属している。ほかに朗読劇「吸血鬼ドラキュラ~Eternal Love~」、舞台「SANADA Ⅺ」などと活躍の幅を広げている。

【番組情報】

「下剋上球児」
TBS系
日曜 午後9:00〜9:54

文/TBS担当 松村有咲

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