「根知男山」かりんとうに 糸魚川市の渡辺酒造店 酒かす使い香りと甘さ

かりんとうを手にする渡辺社長。背後の「豊醸蔵」は地元・根知谷の木を切り出して建てた

日本酒「根知男山」を醸造する渡辺酒造店(糸魚川市根小屋)が今夏発売した、酒かすを使ったかりんとうが好評だ。日本酒以外の商品をそろえることで、酒蔵を訪れた観光客らの満足度を向上させている。

広島県東広島市のかりんとうメーカー「香木堂」に委託製造。両社の間を県信用保証協会がつないだ。香木堂は広島県内の酒造会社の酒かすを使ったかりんとうの製造・販売実績がある。「根知男山」のかりんとうは白く、封を切るとすぐに日本酒の香りを感じ、特有の甘さが際立つ。渡辺吉樹社長は「ほかの蔵元のかりんとうも試したが、見事なほどに味わいも色も異なる。うちのは白い」と話す。

同社は日本酒の醸造過程で出た酒かすを個人や加工業者に向け販売するほか、自社で耕作する水田約17ヘクタールの肥料として活用する。「酒かすは豊富に養分を含み、肥料に好適。購入する肥料の削減にもつながっている」と渡辺社長。かりんとうは醸造で出た副産物を余すことなく使い、酒蔵のオリジナリティーを前面に出す一助にもなる。

同社は酒米生産から日本酒醸造まで一貫して行う「ドメーヌ・スタイル」を取る。観光客には酒蔵周辺の風土や歴史を知ってもらいたいと取り組んでいる。

かりんとうは30グラム入り280円(税込み)。同社「豊醸(ほうじょう)蔵」で販売中。

「根知男山」の酒かすを使ったかりんとう

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