食料自給率「無理」7割 政府目標の45% 民間調査

2030年度までに、食料自給率をカロリーベースで45%とする政府目標を達成できないと思う人が7割に上ることが、民間企業の調査で明らかになった。食料・農業・農村基本法の見直しの一環で、食料有事に備え、国の権限を強化することに対しては、賛成する意見が6割を占めた。

コンサルティングを手がける紀尾井町戦略研究所(東京都千代田区)がまとめた。全国18歳以上の男女1000人を対象に、オンラインで調査した。

カロリーベースの自給率は22年度で38%と、目標との隔たりが大きいのが現状だ。目標を「達成できないと思う」と答えたのは72%、「達成できると思う」は6%だった。農業従事者の減少や高齢化などを意識したとみられる。

基本法を改正し、国内で食料が不足する際には 、国が生産転換を指示できるようにするなどの権限強化を盛り込もうとしていることに対しては、「賛成」「どちらかといえば賛成」が60%となった。

企業の農地所有の解禁範囲の拡大については、「拡大すべきだと思う」「慎重に拡大すべきだと思う」が81%を占めた。一方、農地所有の拡大が戦前の地主と小作のような形態を復活させる懸念があるかという問いには、「あると思う」「ややあると思う」が67%となった。

米の生産を抑制していることに対しては、「積極的に増産し輸出を増やすべきだ」が23%、「増産や輸出増は検討すべきだ」が50%となった。食料安全保障の観点から、生産力の維持を重視したとみられる。

優先的に従事者を増やすべき産業を複数回答で聞くと、「農業」が75%で1位だった。農業者を増やすためにできることを複数回答で聞くと、「農業に関わる人の所得が増えるような施策」が62%と最も高く、「女性や若者が就農しやすい環境の整備」が52%で続いた。

© 株式会社日本農業新聞