バニャイア、マルティンの各々のスプリント。14ポイント差で迎える決勝とチャンピオン争いの行方/第20戦バレンシアGP

 11月25日、リカルド・トルモ・サーキットで開催された2023年MotoGP第20戦バレンシアGPのスプリントレース。ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)が優勝を飾り、チャンピオンシップリーダーのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は5位に終わって、14ポイント差で日曜日の決勝レースを迎えることとなる。

 スプリントでは2番手のバニャイアがホールショットを決めたが、6番手スタートのマルティンも攻めた走りを見せてすぐに背後に迫る。オープニングラップの終わりには、マルティンが4位でバニャイアが5位につけたが、その後はマルティンが追い上げていき先頭に出てフィニッシュした。

 タイヤ選択では、両者ともにフロントはミディアムだが、マルティンがリヤにソフト、バニャイアがリヤにミディアムを履いた。これについてバニャイアは「残念ながらリヤタイヤの選択を失敗してしまった。朝に試したミディアムは速かったし、感触もとても良かった。あのタイヤがあれば勝利を目指して戦えたはずだと確信している」と語った。

 第19戦カタールGPの決勝ではマルティンがタイヤに苦戦したが、今回は逆の立場になってしまいポイント差が縮まった。しかし、14ポイント多く稼いでいるため、二連覇を目指すバニャイアは「いつものように僕たちには十分な可能性があり、ホルヘ(・マルティン)が勝ってもトップ5に入るだけで十分だけど、表彰台に上がれるペースがあるので良いことだ」と優勝を狙う勢いだ。

 そして「最初のふたつのコーナーを改善してから、僕が知っているようにプッシュすることが非常に重要になるだろう」とトップに出た場合はレースを引っ張る模様だ。

ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)/2023MotoGP第20戦バレンシアGP スプリント

 一方でスプリントに強いマルティンは、「フロント、リヤのフィーリングが非常に悪かったけど、勝つためにあらゆるコーナーで限界までプッシュしたにも関わらず、勝ててとても幸せ」と語った。

「明日も勝てればいいけど、(朝と昼で)気温が変化するから簡単ではない。ミディアムやハードタイヤなどに履き替える必要がある。(タイヤの問題は)起こる可能性があるし、バニャイアにも起こり得る。僕は自信を持っているから、プレッシャーに耐えることを望んでいる」

 さらに、マルティンも先頭で引っ張ることを希望している。「午前中はひとりで走っていたので、なんとか乗り方を理解できて、タイヤの扱いもとてもスムーズで、とてもいいペースで走れていたと感じた。しかし、スタイルを少し変えてラインを閉じると、非常に複雑になった。人の後ろでは実際には何も機能しないと思う」と説明する。

「だから(スプリントで)僕が前にいるときはずっと楽だった。(決勝は)勝たないといけない。何が起こっても、僕は勝ちたいだけだし、願わくば彼がトップ5に入らないことを願っているよ」

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