地球起源、謎に迫る 素粒子テーマに講演会 茨城・東海で東北大教授

小惑星りゅうぐうの石の研究成果について話す中村智樹教授=東海村船場

物質を通り抜け、さまざまな物体の内部を透視できる素粒子「ミューオン」をテーマにした講演会が25日、茨城県東海村船場の東海文化センターで開かれた。探査機はやぶさ2によって採取された小惑星りゅうぐうの石を分析した、東北大大学院理学研究科の中村智樹教授が研究成果を披露し、地球の海や生命起源の謎に迫った。オンラインも含め、村内外の住民や研究者ら240人が参加し、熱心に耳を傾けた。

講演会は、大強度陽子加速器施設(同村白方、J-PARC)を運営するJ-PARCセンターや村などが主催。冒頭、同センターの小林隆センター長は「J-PARCで行われている世界最先端の科学実験やその成果を地元の皆さまに知ってもらいたい」とあいさつした。

中村教授はJ-PARCの加速器でミューオンビームをりゅうぐうの石に当て、炭素や窒素、酸素など生命起源に関わる元素量を分析。石にある各元素量の比率を調べた結果から、「(りゅうぐうは)太陽系が誕生して初期に形成された、原始的な小惑星だった」と説明した。

また、中村教授らのチームは他の研究機関での分析により、石に水が含まれていることも突き止めた。中村教授は「りゅうぐうのような天体が出来たての地球に衝突し、地球の海や生命が誕生した可能性が高まった」とし、研究成果をアピールした。

このほか、村教委生涯学習課の学芸員が、村とJ-PARCなどとの連携により、本年度からミューオンを使った村内の古墳内部の調査プロジェクトを始めたことを報告した。

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