「座布団は取り合いません」 小学生ら45人、落語味わう 入船亭扇蔵さんが古典落語を披露、“実技指導”も

入船亭扇蔵さんから指導を受け、そばを食べるしぐさをする小学生=埼玉県伊奈町の県民活動総合センター

 埼玉県伊奈町の県民活動総合センター小ホールで「大笑い!こども落語とゆかいな演奏会」が開催され、小学生親子など45人が参加した。落語家の入船亭扇蔵さんが、子どもたちに向けて落語について分かりやすく説明した。

 「着物を着たおじさんたちが横に並んで、座布団の取り合いをするものと勘違いしてる子が多いんですよね。特に小学生」と扇蔵さんは小学生を指して笑わせ、「笑ってもらったり拍手をもらっても、座布団はもらいません。高座というちょっと高い舞台の上の座布団に正座で座って、しゃべるのが落語なんです」と話した。

 扇蔵さんは人間になった犬が巻き起こす出来事を語る「元犬」や知ったかぶりをした和尚といたずら小僧のやり取りが愉快な「転失気(てんしき)」の古典落語二つを披露。また、扇子を筆に手ぬぐいを紙に見立て、手紙を書しぐさを紹介したり、扇子を箸にしてそばを食べる様子を想像させる“技”を伝授した。

 舞台に上がって、扇蔵さんから直接指導を受けた蓮田南小6年の長谷川葉太郎さん(12)はそばとまんじゅうを食べるしぐさを体験、「おいしかったです」と感想を述べ、観客の笑いを誘った。高座から降りると「やってみたら面白かった」とうれしそうに笑った。母親の真理子さん(43)は「親子で初めて落語に触れた。絵や映像と違って想像する面白さがあった。人によって想像している犬が違うんだなって思うと興味がわきます」と話していた。

 参加者たちはその後、紙コップなどで楽器を手作りして皆で奏でたり、さいたまホルンの会の生演奏を聴いたりと、笑いと音楽のひとときを楽しんだ。

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