ホンダでの最後のスプリントで3位獲得のM.マルケス。決勝も「今日みたいに走る」と攻めの姿勢/第20戦バレンシアGP

 2023MotoGP最終戦バレンシアGPのスプリントレースで、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が3位を獲得した。2024年にはグレシーニ・レーシングMotoGPへ移籍するマルケスにとって、バレンシアGPはホンダでのラストレースである。まずはスプリントレースで、3位のメダルを手にした。

 3列目9番グリッドからスタートしたマルケスは、1周目には3番手に浮上した。レース前半はトップ3から離れることなく4番手を走行し、4周目にはファステストラップを叩き出す攻めた走りを見せると、8周目にマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)をかわして再び3番手にポジションアップ。3位でゴールしたのだった。スプリントレースでは、今季3度目のトップ3獲得である。

 金曜日の時点で「ホンダでの最後のレースだから、いつもよりもリスクをとることにした。リスクを冒せば、速く走ることができる」と語っていたマルケスは、その言葉通り、スプリントレースでも「危険を承知の上」のレースを見せた。「1コーナーで2回も転びそうになって、本当に危なかった」というほど、攻めたという。

 スプリントレース後、ホンダのホスピタリティで行われた囲み取材で、「自分自身と自分の感情をコントロールしようと努めたよ。表彰台に立ったら、スタッフたちの顔が見えた。今のスタッフと、それからこれからスタッフになる人たちの顔が見えて、感情をコントロールするのがものすごく大変だった」と語ったマルケス。感情的になるのを抑えられなかったと言う。

「僕としてはみんなに感謝を伝える最高の方法なんだ。コース上でのレースが、何よりもいちばんの贈り物だから。それに、彼らは僕のことをわかっている。(クルーチーフの)サンティ(・エルナンデス)が僕のところにきて、『気を付けて』と言ったよ」

「『僕はきみのことをわかっている。だから、リスクを冒しすぎないようにね。どんな結果だって、フィニッシュしてくれたら僕たちはハッピーなんだ』ってね。ただ、彼らは僕のことをわかっている。明日、僕は完走したい。でも、もう一度、ベストを尽くしてみるつもりだよ」

マルケスの言葉から、今のホンダの状況で、「完走」と「表彰台獲得」の両立がそう簡単ではないことがうかがえる。ただ、「完走したい」と言う一方、「1周目次第だけど、明日も今日みたいに走る」と、マルケスは語っていた。ホンダのラストレースを、マルケスは攻めて終わるつもりなのだ。ホンダとともに戦うなかで何度も見せてきた、マルク・マルケスのスタイルで。

ホンダのホスピタリティで行われたマルケスの囲み取材。土曜日から、背景にスペシャルなイラストが登場した

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