児童虐待最多5470件 事件相次ぎ相談増加 横浜市

 神奈川県横浜市は30日、2015年度の児童虐待の対応状況を発表した。市内4カ所の児童相談所と全18区役所で計5470件に上り、過去最多だった前年度(4633件)を更新した。そのうち、15年度に新たに把握された虐待の被害児童は2262人だった。

 相談種別でみると、5470件のうち心理的虐待が2241件(41・0%)で最も多く、身体的虐待(29・1%)、ネグレクト(育児放棄、28・6%)、性的虐待(1・3%)と続いた。児童の年齢別では1〜6歳が2403件(43・9%)と最多で、7〜12歳(30・0%)、13〜15歳(11・6%)の順。

 虐待者別では実母(57・4%)、実父(33・7%)、実父以外の父(4・4%)と続いた。通告・相談した機関は、警察(31・0%)、児相(13・5%)、福祉保健センター(12・4%)、近隣・知人(11・4%)、家族・親戚(10・7%)の順となっている。

 区役所と児相とでは、通告経路や種別の傾向が異なる。区役所では母子手帳の交付や乳幼児健診などを行う福祉保健センターからの通告・相談が最多。ネグレクトが半数近くを占めた。一方で、児相には警察からの通告が半数近くとなっており、心理的虐待を疑う内容が多かった。

 市内では昨年12月と今年3月に港北区で親が子どもの首を絞めて殺害する事件が発生。いずれも区は健診などで虐待の兆候をつかめず、児相も把握できなかったという。

 市は結果を受け、「全国で虐待事件が相次ぎ、相談や通告が増えた。虐待を減らすべく、区や児相と連携して相談しやすい環境づくりや、子どもと親のケアを続ける」としている。

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