丸山製作所、世界初の小型2ストローク水素エンジンを開発

開発の背景

カーボンニュートラル社会の実現に向け、OPE作業機においても CO2を排出するエンジンからモーターへの電動化が進んできている。

しかし、高負荷で長時間の作業が必要なプロ向け作業機では過酷な使用条件が求められるため、すべてを電動化することは困難だ。

今回、安定運転に成功した小型2ストローク水素エンジンは、エンジンを真横にしたり逆さにしたりしても問題の無い作業性を実現した。さらに水素を燃料としているので、排出するガスがほぼ水(HO)となり、作業機のクリーン化を実現する。

作業機における2ストローク水素エンジンの特長

2ストロークエンジンは、自動車などに使用される 4ストロークエンジンに比べシンプルな構造のため、人が手に持ったり背負ったりするための小型軽量化できる。また、排気弁や吸気弁といった動弁系を持たないため、メンテナンス性にも優れる。

2ストローク水素エンジンの課題として、燃焼室内の残留ガスが火種となる自着火現象が発生するプレイグニッションがあった。そこで丸山製作所では、プレイグニッションを防止するために、水素燃料をエンジンに導入する場所とタイミングを見直し、圧縮前の低温環境の燃焼室へ燃料を導入した。

また、オフセットシリンダを採用することで、高温の燃焼済みガスの残留を低減し、さらに低温の空気のみで掃気工程を行うことによって燃焼室内の温度低減を実現した。これにより自着火現象による不具合を防ぎ、水素燃料での安定運転を可能だ。

また、潤滑オイルはクランクケースの別通路からクランクシャフトへ供給する構造にした。最も潤滑を必要とするコンロッドのクランクシャフト側のベアリングに直接オイルを供給する構造となっており、現行エンジンと同等の8,000rpm以上の高速運転も可能だ。

2ストローク水素エンジン燃焼のしくみ

今後の展開

テストでは量産タイプの排気量 80cm、単気筒2ストロークガソリンエンジンをベースに試作機を作成し、水素燃料による安定運転を実現した。

現在は試験ベンチ上のエンジンで水素は外部供給設備での運転だが、今後はカセットボンベ方式の採用と部品の小型化を図り、屋外作業が可能な試作機を予定している。さらに製品の動力源としての水素エンジンの可能性を探るという。

丸山製作所は今回開発した2ストローク水素エンジンをはじめ、今後も持続可能な社会の実現に向け、技術開発や製品・サービスの提供を進めていくとしている。

▶︎丸山製作所

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