「昭和喪失」 ~あと数年も経つと「遺産」となる~ そのような時代を迎える前に 第10章 東京都品川区北品川~リニア中央新幹線と八ツ山橋~

品川駅が港区に属して、京浜急行の次の駅が北品川というのは、有名な話である。線形の影響で品川駅を出た京浜急行の電車は、ゆっくりとJRの線路を越していく。そう、ここ八ツ山橋は、港区と品川区の区界だ。東海道と当時の国鉄を立体交差させるために1872年に架けられた橋。日本で初めて作られた鉄道陸橋である。そして、ゴジラが上陸した最初の場所が八ツ山陸橋と言われている。

八ツ山は、北品川北端の地名で武蔵野台地の突端の丘端。昔この付近に八つの岬があって、海に突き出ていた海岸だったためにこの名前がついたと言う。

リニア中央新幹線が契機の大規模工事

今、JR品川駅周辺は、大規模な改築工事が始まっている。その理由は、2027年開業予定のリニア中央新幹線に伴う工事だ。高輪口の駅前整備をするため、現在JRのコンコースと同じレベルにある京浜急行ホームを、山手線などと一緒の地上レベルにする工事なのだ。

それに伴って、京浜急行も北品川周辺から八ツ山橋にかけて、大規模な改修移転工事が行われる。それも電車を走らせながらの高難度な工事だ。そして、踏切も連続高架となり、品川駅にかけて、ジェットコースターのように、一気に下っていく。

今あるこの風景も時間を経るに従って、失われていくだろう。これも一つの昭和喪失である。

寄稿者 観光情報総合研究所 夢雨/代表

(次ページは、八ツ山橋周辺の今の姿を!)

撮影・取材 2023年9月11日

八ツ山橋の欄干、
映された欄干の形が、歴史を感じる

北詰から見る八ツ山橋、
電車も最徐行で進みます!

八ツ山橋の歴史を刻むモニュメント、
昭和を越え、明治の匂いがする

品川駅の喧騒が嘘のよう、道路と鉄道の八ツ山橋

間近に見ることができる京浜急行の電車

JRの線路を越える京浜急行の電車
スピードはゆっくり!

八ツ山橋踏切から高輪側を見る
線路がS字状になり、品川駅に向かっている

八ツ山橋踏切から見た北品川駅方面、こちらもS字カーブ
右側に高架線が作られる予定!

北品川駅構内、この左側に高架の駅ができあがる!

(これまでの寄稿は、こちらから)

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