地所、「大丸有」に広がる創業支援の輪 ―7組織を運営、「サイ」を移転

(提供:日刊不動産経済通信)三菱地所が東京の「大丸有」エリアで展開する起業家支援の活動拠点が増えてきた。00年に丸の内でベンチャー支援組織を旗上げし、07年には「EGG JAPAN」を開設。環境やフィンテック、海外事業など切り口の異なる複数の組織を段階的に作り、会員の資金調達や大企業との協業などを後押ししてきた。合計7つの組織が同社保有のビルで活動している。今月20日には会員制の事業創造コミュニティ「SAAI(サイ)」の拠点が千代田区の新有楽町ビルから新東京ビルに移る。同組織は20年2月の運営開始から4年弱で会員数が約300人となり、累計資金調達額も89億円になるなど徐々に成果が出てきた。

大丸有や八重洲などの東京駅周辺では他社が運営するものも含め30を超える同種の組織が活動している。いずれもデベロッパーが起業家の卵らに場所と交流機会を提供。成長段階に合わせてより面積の大きいサービスオフィスなどに移ってもらうとの想定だ。

三菱地所の「サイ」は、JR有楽町駅前の「有楽町ビル」と「新有楽町ビル」の改築に伴い移転する。延床面積は約1000㎡から830㎡に減るが、移転後は通りに面した1階と4階、地下1階の3フロアを活用する。個室やフリー席、ラウンジ、会員用のバーなどを分散させ、畳の座敷や4つの会議室なども用意。ゼロワンブースターが1階に本社機能を移し運営を担う。会員300人の約5割は個人事業主などで2割は大丸有の企業に所属する会社員など。起業分野は教育系や生成AI、核融合関連ビジネスなどが目立つという。最大約400人の会員登録を見込む。利用料金は個室会員は月額26・4万円から。固定席会員は7・7万円、フリー席会員は3・3万円など。

© 不動産経済研究所