常磐大学長 男女平等「互いに尊重を」 国連の取り組み紹介 茨城・潮来で講演

講演する常磐大・常磐短大富田敬子学長=潮来市潮来

茨城県潮来市男女共同参画推進講演会(同市主催)が23日、同市潮来の潮来公民館で開かれ、元国連職員で常磐大・常磐短大学長の富田敬子氏が「未来を自分らしく生きるために~国連におけるジェンダー問題の軌跡~」と題して講演した。富田学長は、国連の男女平等に向けた取り組みを紹介しつつ、「現在では、さらに多様性を重視・推進する流れになりつつある」などと語った。

講演では、国連の果たすべき役割として、国連憲章の前文に「平和の構築・開発の促進・人権の尊重」が記されており、これが男女の同権を認める初の国際合意だったと説明。婦人の地位委員会や国連ウィメンなど、世界の女性の地位向上を目指す取り組みが続けられたと紹介した。

その上で、持続可能な開発目標(SDGs)の登場で「ジェンダーの平等と、全ての女性の可能性を広げる」ことが目標の一つとして掲げられると、流れは「ジェンダー平等」「多様性」に移り変わっていったとした。また、ジェンダー平等や女性の可能性が広がった場合、SDGsの他の目標の実現も近づくと述べた。

さらに、日本の女性の地位について、ジェンダーギャップ指数を基に「日本の順位が低いことばかりに注目が集まるが、トータルで見る必要がある」と指摘。教育・健康はほとんど平等だが、政治・経済では格差があるとして「幾つかの分野では、まだまだ女性の積極的な参画が必要だ」と訴えた。

最後に、誰もが人権を享受できる社会は国連の悲願だとし、「性別に関係なく、一人一人の個性を互いに尊重し、その人らしい生き方ができる社会づくりが求められている」と締めくくった。

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