茨城・笠間の養鶏場 鳥インフル確認、処分開始 県や業者、警戒強める【更新】

鳥インフルエンザが発生した養鶏場で殺処分の準備をする職員ら=27日午前10時ごろ、笠間市内(県提供)

茨城県笠間市の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザの疑い事例について、県は27日、遺伝子検査で陽性が確認されたと発表した。県は飼育する採卵鶏7万2000羽の殺処分を始めた。鶏卵生産日本一の茨城県では昨季、鳥インフルが続発し、鶏卵価格が高騰するなど影響が出た。防疫に向けた全国初の条例を制定するなど対策に力を注いできた県や養鶏業者は警戒を強めている。

養鶏場の鳥インフル発生は佐賀県鹿島市に次ぎ全国で今季2例目。松野博一官房長官は記者会見で「今後のさらなる発生も懸念される。関係各省の緊密な連携の下、対応に万全を期す」と述べた。

農林水産省は同日、専門家会合を開き、全国の都道府県に防疫対応の徹底を要請した。ウイルスの侵入防止策を改めて点検することも求めた。

笠間市で鳥インフルが確認された養鶏場では午前10時ごろから、防護服を着た県職員らが殺処分の作業を行った。24時間交代制で、1日300人体制。処分完了までに3~4日を見込んでいる。

県は養鶏場から半径3~10キロ圏内にある22農場で、計約127万羽の移動や搬出を制限した。制限区域には車両の消毒場所を設置。環境省は10キロ圏内で野鳥の監視を強化する。

茨城県の鶏卵産出額、飼育羽数はともに全国1位。昨季はかすみがうら、笠間、城里、八千代、坂東の5市町の養鶏場で鳥インフルが6件発生し、計約430万羽が殺処分された。県や市町村の職員、協力団体、陸上自衛隊などを含め、延べ3万2000人が従事した。

鳥インフルは全国でも猛威を振るい、過去最多の鶏が殺処分され、鶏卵相場が高騰、販売価格が上昇するなどの影響が出た。

県は今年、全国初となる「鳥インフルエンザの発生予防及びまん延の防止に関する条例」を3月に制定、4月に施行した。大規模農場を対象に、鶏舎内の設置基準を定めるなど、防疫とともに発生拡大を見据えた対策を強化してきた。

県畜産課の担当者は「昨季多く発生し、対策を徹底してきただけに、非常に残念」とした上で、「春先まで今後も発生する恐れがある。まん延防止など予防対策を続ける」と警戒を強めている。

鳥インフルエンザが発生した養鶏場で殺処分の準備をする職員たち=27日午前10時ごろ、笠間市内(県提供)

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