【みんなの意見】習い事、いくつやらせるべき?“複数or絞る”それぞれのメリット・デメリット

「子どもにどれだけの数の習い事をさせるか」

そこには子どもの意思というよりは、親の考え方が反映されるようです。

毎日のように習い事の予定を入れている複数派と、1〜2個の習い事に絞っている派、それぞれに「なるほど」と頷くような親の考え方が見えました。

今回は、「習い事を複数させている家庭(3個以上)」と「習い事の数を絞っている家庭」それぞれに、その理由やメリットとデメリットなどをリサーチしました。

習い事は「複数派」、その理由は?

ほとんど毎日習い事!複数派の考え方

「子どもが小さいうちは適性がよくわからないので、とりあえず本人がやりたいと言ったものや、私自身がやらせてみたいと思ったものをできる限りやらせるようにしています」(ピアノ講師/38歳)

「結果的に自分自身で取捨選択できるように、選択肢を広く与えてあげたいので」(メーカー勤務/43歳)

このように、「子どもに合う習い事がまだわからない」「多くのものを見せて、あとは自分で決めればいい」という意見が多かった複数派。

親から見えている部分が、子どもの全てとは限らないもの。これまで家庭の中で取り入れてこなかった分野に興味を持ったり、才能を開花させたりすることもあります。

また、いつかはほとんどのものをやめる前提でたくさん習い事をさせている、という家庭も。

「小学校4年生や5年生あたりになったら、中学受験のために塾一色になってしまうので、それまではやりたい習い事をやらせてあげたい」(営業事務/40歳)

中学受験をする子どもは、小学校後半の放課後をほとんど塾で過ごします。それまでの間に、さまざまなことを経験させてあげたい、という気持ちから習い事の数が増えるということもあるのですね。

習い事の数を「絞る派」には、現代ならではの事情も

「習い事は家での練習や復習が必要なものも多くて、『楽しい』と思えるまでには時間がかかると思うので習い事はピアノと水泳のみにしていました」(自営業/38歳)

このように、数を絞る派の家庭では「たくさんのものに触れる経験」よりも「一つのものに対する習熟度」を重視する意見が多く聞かれました。

たしかに、楽器や英会話などの家庭での練習が必要になる習い事では、その時間を確保しなければいけません。習熟度を上げようとすればたくさんの習い事はできない、ということなのですね。

また、現代ならではの事情も見えました。

「我が家はフルタイムの共働きなので頻繁な送迎が難しく、物理的にそこまで多くの習い事をさせてあげられないのですよね。成長して一人で習い事に行けるようになると今度は、『今さらやらせてもな』という年齢になってしまっていますし。

結局、送迎バスがある水泳と小学校4年生から剣道くらいしかしませんでしたが、友達と遊ぶこと優先な息子にはそのくらいがちょうどよかったようです」(医師/40歳)

両親がフルタイムで働いていると、毎日の習い事への送迎が難しいことも。このような家庭は、送迎バスを上手に利用したり家からの距離を習い事を決めるポイントにしたりと、習い事選びを工夫している印象がありました。

習い事は「複数派」のメリット

メリット1: 学童がわりにできる

共働き家庭は、「なかなか習い事ができない」という意見がある一方で、「むしろ共働きだからこそ習い事の数を増やしている」という家庭もありました。

このような家庭は、自分たちが家にいない時間を習い事の場で過ごさせるという、学童保育的な考え方で習い事をさせているようです。

ただこのメリットを享受するには、できるだけ預かり時間が長い習い事を選ぶことがポイント。

習い事に学童的なメリットを感じている家庭では、練習時間が長いスポーツのクラブチームや、民間学童のような形態の英会話教室などを選んでいる傾向が見られました。

メリット2: いろいろな場所に友達ができる

「友達のいる場所が学校だけにとどまらないのはメリットだと感じます。娘が学校で少しトラブルになった時も、習い事の友達が多くいたおかげで気持ちを前向きに保っていたように思います」(営業事務/40歳)

あらゆる習い事の場に身を投じることで、それぞれの場であらゆるタイプの友達ができます。

「依存先を増やすことで精神が安定する」という言葉を耳にしたことはありませんか?

同じように、習い事を通して多くの場所に友達がいることで、一ヶ所(特に学校など)で嫌なことが起こったりトラブルに巻き込まれたりしても、思い詰めることなく過ごすことができるというようなメリットがあるようです。

メリット3: あらゆることへのある程度の基礎力がつく

小さな頃からあらゆる習い事をしていることで、いろいろな分野の基礎力がつくというのもメリットです。

たとえば、ピアノをやっていれば楽譜が読めるようになりますし、サッカーをやっていれば走るなどの運動に関する基礎力が身につくのではないでしょうか。

数年程度関わった習い事であっても、そこで身についた知識や基礎力は大きな財産になります。

習い事は「複数派」のデメリット

デメリット1: とにかくお金がかかる

習い事をたくさんやらせている家庭から上がったデメリットで一番多いのが、このお金の問題。

週に3回同じ習い事をしているパターンと、週に3回全く違う習い事をしているパターンでは金額差が2倍以上になることもあるそう。

「お金の問題もそうですし、これまでやっていた習い事をやめて新しい習い事を始める、などの“入れ替え”も地味に面倒」という、親の気苦労が見える意見もありました。

デメリット2: 送迎が大変

「子どもが小学校に入って以降は自分一人や友達と習い事に行ってくれるようになりましたが、保育園時代はしんどかったです。毎日のように仕事の合間を縫って、夫と協力して習い事の送迎をしていた記憶しかないです」(ピアノ講師/38歳)

家の近くまで送迎してくれるバスがあったり、同じマンションの中に習い事の教室があったりすれば楽ですが、実際にそんな習い事はそう多くありません。

習い事の数が多ければ多いほど、親には物理的な負担がのしかかるというデメリットがあります。

習い事は「絞る派」のメリット

メリット1: 人よりも得意なことができる

習い事の数を絞って、しっかりと練習などの時間を確保することで、「周囲よりも得意なこと」ができるのは大きなメリット。

少し苦手なことやできないことがあっても、「自分にはこれがあるから大丈夫」と思える材料があるのは強みですね。

しかし、このメリットを活かすためには、そもそも「子どもの能力や性格に合っている習い事」を選ぶことが大切だそう。

あるママは「本人の希望でサッカーをさせたけれど全く身が入らず、逆に親がなんとなくやらせたピアノが今になって伸びてきている」と語っていました。ある程度、長い目で見極める必要がありそうです。

メリット2: 継続力がつく

習い事の数を絞っている家庭で多く見られた意見が「子どもが辞めたいと言っても一旦は保留にして様子を見る」というもの。

ちょっとやそっとじゃ辞められないという経験から、継続力がつくそう。

「辞めたい理由に“なんとなく感”があり、深刻でない場合は様子を見ます。そうこうしているうちに、バレエは6年間くらい続いていました。

そのおかげかわからないですが、現在の中学受験の勉強に関しても『もう嫌だ』などの言葉は聞いたことがないですね。毎日やるのが当たり前、続けるのが当たり前という習慣がついているのだと思います」(食品関係勤務/39歳)

このように、特定の習い事に対してだけではなく、あらゆるものに対して継続力が影響するようです。

「絞る派」のデメリット

デメリット1: 得意の範囲が狭くなる

「夫の話ですが、子どもの頃からほとんど剣道しかやっていなくて他にできるスポーツがないため、活発な息子と遊んであげられるものが少ないと嘆いていますね」(養護教諭/34歳)

一つのことに打ち込んでいると、おのずと他のことに割く時間が少なくなります。

もちろん、これまでやったことがないことに対してもなんとなく感覚を掴んでできてしまう、という器用なタイプもいます。

しかしそうでない場合は、「得意なことはとにかくできる、でもそれ以外はむしろ不得意」という現象が起こってしまうこともあるようです。

デメリット2: 習熟度が上がってくると逆に大変

「最初はピアノが週に1回だけだったのですが、息子の習熟度と熱意が上がるにつれてレッスンが週3回になり、コンクール出場にもどんどんお金がかかってきています……」(自営業/38歳)

習熟度が上がっていくと、習い事をたくさんやっている子とほとんど変わらないレベルで習い事に足を運ぶことになったり、休日も習い事関係のコンクールや大会があったりするので生活のほとんどがその習い事を中心に回るようです。

子どもは自分の好きなことを毎日できて楽しい反面、親は時間的にも金銭的にも大変! という一面もあるのですね。

水泳やピアノなどの定番だけではなく、プログラミング教室やスポーツのクラブチームなど、子育て世代が子どもだった時代とは比べものにならないほど、習い事の種類は多くなっています。

習い事をたくさんするか、少数に絞るか、まずこの選択から頭を悩ませるところですが、その決定材料には「子どもの適性」だけではなく「親の適性」も入れてみましょう。

今回紹介したメリットやデメリットを参考に、「習い事はたくさんさせる」「少数に絞らせる」、親である自分自身がどちらのほうが無理なく対応できるかを考えてみてくださいね。

(ハピママ*/ 高橋 マミ)

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