防衛費5年で43兆円に早くも上振れ浮き彫り

 政府は防衛戦略で抑止力や対処力の強化を図るために今後5年間で防衛費総額43兆円とすることを閣議決定しているが、円安が続く中、岸田文雄総理は27日の参院予算委員会で立憲民主党の辻元きよみ議員の質問に「閣議決定した数字(金額)であり、この範囲内で防衛力を強化していく方針は変わりない」と総額を変えないと答弁した。

 この金額算定時の為替レートを辻元議員から聞かれた木原稔防衛大臣は「1ドル108円を用いた」と答弁。今は150円台。必要な装備を考えた結果が43兆円だったとすれば目に見えて装備計画を縮小するか、予算を積み上げるかしか方法がないことだけは明白だ。

 辻元議員は「どうやって43兆円をキープできるのか」と質した。これに岸田総理は「効率化、様々な財源の活用を行うなど工夫を続けていく。政府の責任として行っていく」と強弁した。

 辻元氏はこの答弁に「効率化というなら、なんでそれを最初からやってないのか。無駄があったと白状したことになる」と政府を追及。「財政審資料では防衛装備品がどんどん上がっている。大型輸送ヘリチヌーク、中期防の単価、概算は」。これに鈴木俊一財務大臣は「2019年度中期防での平均単価は76億円、24年度予算概算要求での単価は陸自で185億円と109億円増額、空自で216億円と140億円増額」と答弁。

 辻元議員は「1機3倍になっている」と指摘。またイージス搭載艦がこの11か月でいくら値上がりしているかとの問いに木原防衛大臣は「2隻取得費に計画額に比べ約2000億円増額」と説明した。

 辻元議員はこの説明に「装備品を減らすのか」と質した。岸田総理は「装備品のまとめ買いなど購入でも様々工夫を凝らし、抑止力、対処力の維持を図る」と苦しい答弁を行った。43兆円枠で対応できないことが明白で、早くも予算の上振れが容易に予測できる状況になっていることが浮き彫りになった。(編集担当:森高龍二)

政府は防衛戦略で抑止力や対処力の強化を図るために今後5年間で防衛費総額43兆円とすることを閣議決定している

© 株式会社エコノミックニュース