休み方や働き方を見直すきっかけにしてほしいと、愛知県が導入した11月27日の「あいち県民の日」。初めての試みの成果について、三菱リサーチ&コンサルティングの主任研究員・宮下光宏さんに話を聞きます。
「一定の効果があったのでは」
「あいちウイーク」自治体・企業の対応
――あいち県民の日とあいちウイークの実施、この盛り上がりをどのようにご覧になりましたか。
一定の効果があったのではないかと思います。各所ににぎわいがあったという声を聞きました。私は11月24日(金)は休まず、会社に出社しましたが、地下鉄で通勤する人がいつもより少なかったです。午後に東山動物園周辺を歩くと、家族連れが多く見られました。
――実際に社会人の皆さんが休むことができたのか。あいちウイークの自治体・企業の対応を調べました。
●愛知県庁
・11月から2024年3月までに平日に3日休むことがすすめられる
・24日(金)はいつもより庁舎内は閑散としていた印象
●トヨタ自動車
・24日(金)は通常通り工場稼働
・休みの申請が多かったかどうか、調査はしていない
職種によって休みやすい・休みにくいが浮き彫りに
――この結果から行政や民間で少し意識に差があったといえますか。
製造業であるトヨタ自動車では休めなかったのだと思います。職種によって休みやすい・休みにくいが浮き彫りになったのではないかと考えています。しかし今回の取り組みで大切なのは、休みについて考えるきっかけになったことだと思います。
休み方改革実現へのプロセスは3つあると考えています。
1. 休みについて考える
2. 実行に移す
3. 効果を分かちあう
この3つのプロセスが重要です。あいちウイークで休めた人も、そうでない人も休みたかった人も、このプロセスが実行できたのではないかと思います。
保護者の負担を軽減する整備が必要
休み方改革
――ただ、「子どもが休みだったが自分が休めなくて困った」という声もありました。それについては、どのように解消したら良いでしょうか。
休みを徹底したことで、保護者の負担がかかるというのは大きな問題になります。仕事で休めない方に対して、今後は児童クラブなどの受け皿となる事業者の労働環境の整備が必要になってくると感じます。
――休み方改革実現へのプロセスをステップアップさせるために、2024年のあいちウイークでは何が求められますか。
行政や民間それぞれの役割がある中で、今回の効果と課題を整理して、できることをやっていくべきだと思います。
行政は休み方について呼びかけを常にやっていくことが大事になります。民間は休むことのメリットをしっかりと打ち出すことが大切です。例えば「平日は休日と比べて施設の料金が安くなる」など、そういった取り組みも必要になるかと思います。