【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」

【2023.11.28配信】適切かつ安全に緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は11月28日、「緊急避妊薬OTC化の試験的運用の周知、及び迅速かつ全面的なOTC化実現を求める要望書」を厚生労働省に提出した。厚労省は医薬局医薬品審査管理課長の中井清人氏が受け取った。同日、試験的運用が開始されたことを受けたもの。

要望書では、調査対象となる薬局が全国で145店舗と限定的であることなどに懸念を示している。調査薬局数のほか、16歳未満の女性は対象外であることや16歳~18歳未満の女性は保護者の同意が条件とされていること、価格が7000円~9000円とされていること、面前内服の必須条件が想定されることに触れ、「非常に限られた条件下での試験的運用は、スイッチOTC化により実現される販売環境とは大きく異なり、調査としての信憑性に課題がある」と懸念を示している。「緊急避妊薬の入手のハードルがある未成年者をはじめ多くの人たちのアクセス改善につながらない懸念がある」ともしている。

試験的運用に際した周知不足も憂慮し、緊急避妊薬のOTC化試験的運用に関する国民への周知の徹底を求めた。
今後については、試験的運用の調査協力薬局の拡大のほか、迅速かつ全面的なOTC化の実現が必要としている。

要望書手交後に会見した共同代表の染矢明日香氏は、「調査のデータ数が少ない等の理由でこれ以上調査や検討を先延ばしにしないでいただきたい、また今後、OTC化の判断については透明性を担保した議論をお願いしたいと伝えた」と述べた。

これらの要望について、厚労省側は、周知・広報については「薬局やドラッグストアでの告知のほか内閣府と連携した広報をしていく」と回答したという。

一方、調査薬局数の拡大については、「試験的運用はまずは小さい単位でのスタートになってしまう」との回答があったとした。染矢共同代表は、「来年度もこの調査費用として今年と同じ1000万円計上されている。おそらく来年度も継続して調査ということになるのではないか」と憂慮。これに対し厚労省は「1回目の調査が終わってみないと何とも言えない。調査チームの中で(結果を)取りまとめてどうしていくかの方針を出していく」と回答したという。

染矢氏は「緊急避妊薬の薬局での販売が試験的に運用されたとしても、その調査結果によって、“やっぱり緊急避妊薬のニーズがないんだね”というふうに言われたりとか、いろんな条件を課さないと緊急避妊薬は安全に入手できないんじゃないかと言われてしまうのではないか、いうことでいろいろな条件を制限するための科学的な根拠として使われてしまうということを非常に危惧している」とした。

その上で染矢氏は「私たちとしては全国的に薬局で緊急避妊薬の販売を行い地域での相談体制連携の強化を行うこと、緊急避妊薬の提供において適切な情報提供を行うこと、また使用者の負担や障壁につながり得る条件を避けること、緊急避妊薬はすべての女性が入手できる価格にすること、包括的性教育の普及・推進を行うこと、などを求めている」とした。

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