前澤友作らが搭乗した宇宙船ソユーズの帰還モジュール⽇本初公開

映画『僕が宇宙に⾏った理由』完成披露上映会と「映画『僕が宇宙に⾏った理由』特別展」オープニングイベントが27⽇、TOHOシネマズ⽇本橋と⽇本橋三井タワー1F アトリウムで⾏われ、実業家の前澤友作⽒と監督の平野陽三が出席した。

本作は、前澤⽒が過酷な検査やトレーニングを経て宇宙に⾶び⽴つまでの道のりや、国際宇宙ステーション(ISS)での12⽇間の滞在、そして地球へ帰還した後までを密着したドキュメンタリー映画で、前澤⽒とともに宇宙へ⾏った平野⽒が監督を務めた。

本作を⾒終えたばかりの観客の前に登場した前澤⽒は「⾃分のことが映画になるっていうのは嬉しいんですけど、半分恥ずかしい⾯もありまして、みなさんの感想が気になっているところです」と照れ笑いを浮かべ、6か⽉間ロシアで訓練した際に着⽤していたというフライトスーツ姿で登場したことに触れられると「洗うのがもったいなくて当時のままなんですけど、今⽇久しぶりに出したらちょっと汗臭かったですね(笑)」と茶⽬っ気たっぷりに笑った。

(C)2023「僕が宇宙に⾏った理由」製作委員会

また、ロシアではフィジカルトレーニングに加えて座学も多かったそうで、前澤⽒は「朝の9時から⼣⽅の6時まであって、お昼休みが1時間あって、チャイムが鳴ったりして本当に学校のようでした」と回顧し、そんな中で撮影も⾏っていた平野監督は「勉強のほうはあまり優等⽣なほうではなかったかなと思うんですけど、少なくとも記録だけは撮らないといけないという責任だけはありましたので、頑張って撮影していました」とコメント。

もともとは映画を作るためではなく、宇宙に⾏く記念として映像を撮っていたそうで、前澤⽒は「なかなか撮れ⾼があるなという話になりまして、彼(平野監督)はもともと映画を作りたいという夢を持っていて、僕も宇宙に⾏きたいという夢を叶えちゃったので、彼の夢も同時に叶えたら⾯⽩いんじゃないということで、この映画ができることになりました」と経緯を告⽩。平野監督は「作品として1本に繋げたいという気持ちがあったので、それを作っている最中に映画化の話が決まって、これは気合を⼊れないとやばいなと思ったんですけど、そこからアジャストできたこともあって、最終的にはいいものができたと思っています」と⼿応えをにじませ、「宇宙に関する作品はフィクションが多いので、実際の⽣の映像を使えたのは嬉しいことですね」と笑顔を⾒せた。

そんな本作は、2⼈にとってどんな作品になったか尋ねられると、前澤⽒は「もう2年前の話で、僕からすると卒業アルバムを⾒ているような、ちょっと懐かしい、嬉し恥ずかしい感じの作品です」と吐露し、「もう2度と映画を作ることはないと思う」と⾔いつつ、⽉の周回渡航も予定していることから「(映画化するかは)まだわからないですけど、第2弾もよろしくお願いします(笑)」と笑顔を⾒せた。

同じ質問に、平野監督は「2⼈の夢を体現できて、映画の1つのテーマでもあるんですけど、夢を叶えるとか、何かに挑戦するというのを、⾝をもって体験させてもらったなという思いで、感謝のほうが強いです」としみじみと語り、今回の撮影を経て前澤⽒の意外な⼀⾯はあったか追求されると「6か⽉のロシアでのトレーニングを前澤さんが遂⾏してくれるとは思っていなかったので(笑)、この⼈、根性あるなというか、やり切る⼒みたいなものを⾒させてもらいました」と感嘆。前澤⽒は1度もトレーニングや座学から逃げようと思わなかったそうで「意外とやるときはやるんですよ。ちなみに⾞の運転免許も最短で卒業しました」と胸を張った。さらに、宇宙船の発射の瞬間はどんな気持ちだったか尋ねられた前澤⽒は「意外だったのが(船内は)静かで全然揺れなかったことで、例えるなら新幹線って気づいたら発⾞してるじゃないですか。ロケットもあんな感じでした。なので、今まで⾒た宇宙映画の“ゴゴゴッ︕”みたいなのはまったくなくて、笑いながら⾶び⽴っていきました」とにっこり。その際に着⽤していた宇宙服もステージに登場したが、着⼼地について前澤⽒は「最初に⾃分⽤に作られたものに袖を通したときはZOZOスーツを思い出しましたね」とコメントして会場の笑いを誘い、「こんなにピッタリすると気持ちいいんだ。フィットするってこういうことかって。でも、いま着ろって⾔われたら、僕は体重が3kgくらい増えているので、もしかしたら⼊らないかもしれませんし、平野は10kg太ったそうなので間違いなく着られないよね」と苦笑し合った。

(C)2023「僕が宇宙に⾏った理由」製作委員会

先⾏上映会後に⾏われた特別展のオープニングイベントでは、前澤⽒が⾃ら地球に帰還する際に搭乗しだ“ソユーズ”の帰還モジュールのアンベールが⾏われ、⽇本初公開となる帰還モジュールと再会しての感想を求められた前澤⽒は「実はヤマト運輸さんの倉庫で再会はしているんですけど(笑)、改めて“焦げてるな”って思いますね」と声を弾ませ、「地球に帰還後、⽴っていられないくらい地球の重⼒が重く感じてすぐに移送されちゃって、あまりじっくり⾒る機会がなかったので、こうしてじっくり⾒られて嬉しいです。近寄って⾒ていただくと焦げがリアルですので、ぜひみなさんに⾒ていただきたいです」とおすすめした。

また、帰還モジュール内で私語を話すと船⻑から怒られたそうで、前澤⽒は「なので派⼿な会話はできませんでしたが、窓から⾒える地球とかを⾒てしまうと『うわーっ、すげー︕』みたいな話をしてしまって、その都度、船⻑に『しーっ』って⾔われてました」と打ち明け、「映画にもなっていないエピソードなんですけど、最初にきれいな地球を⾒たのは平野なんですよ」と⼝をとがらせると、平野監督は「すいません、お先にいただきました」と恐縮していた。

そして、本作の⾒どころを尋ねられると、前澤⽒は「映画にしようと思って撮影をしていないので、ありのままのガチな訓練の様⼦だったり、笑い転げるようなシーンだったり、⾃分のプライベートなところもいっぱい映っていて、何も演じていないですし、何も構成されていないのでリアルなものを感じていただけると思いますので、そういうところを⾒ていただけると嬉しいです」と答え、平野監督は「ロケットの打ち上げシーンをぜひ映画館で⾒てほしいなと思います。中に乗っている分には思っている以上に静かに打ち上がるんですけど、外は空気も地⾯も割れるような地響きがするすごい迫⼒で、それを伝えたくて⾳作りにもこだわったので、それを劇場で⾒て体感していただきたいです」とアピールした。

加えて、どんな⼈に⾒てもらいたいか追求されると、前澤⽒は「宇宙に興味をお持ちの⽅はもちろん、宇宙以外でも挑戦とか夢を持たれて頑張っている⽅が多いと思うんですけど、そういう⽅にぜひ⾒ていただきたいです。宇宙旅⾏って聞くと“お⾦払って簡単に⾏ってきた”って思われがちなんですけど、⾏くまでに結構な苦労もありましたし、訓練も⼤変でしたので、そういったところも⾒ていただけると、夢を叶えるということはまあまあ⼤変なことなんだな、⾃分も夢を叶えるために頑張ろう、そんな勇気を与えたり、背中を押せるよう
な映画になっていたらいいなと思います」と熱く語り、平野監督は「地球は美しいなとか、世界は平和がいいなと思っていただけると思うので、⼩さなお⼦様から、学⽣さんだったりこれから社会に出られる⽅々、何かに挑戦したい⽅や将来どうしようと考えていらっしゃる⽅に⾒ていただいて、少しでも⾃分もキャパシティを広げるとか、夢に挑戦してみるとか、そういう姿勢だったりを⾒ていただけたら嬉しいです」と語った。

さらに、2⼈が今後挑戦したいことを聞かれると、前澤⽒は「実は2回⽬の宇宙渡航を控えていまして、今度は⽉の周回渡航を予定しております。まだいつになるかは未定なんですけど、楽しみにしていただけると嬉しいです」と胸を躍らせ、「宇宙以外のチャレンジで⾔うと、去年から“MAEZAWA RACING”という⾞のレースの世界にも参⼊しまして、僕もいずれ⾞を⾛らせて、レースの世界で戦ってみたいなと思い始めているので、挑戦はいつまでも尽きないと思います」と⽬を輝かせた。

⼀⽅、平野監督は「今回、初めて宇宙に⾏かせてもらって、やり切れなかったことがたくさんあったので、そういう経験を次に⾏かれるクルーに託すじゃないですけど、サポートができればいいかなと思います」と話し、「レースは今トレーニングをされているんですけど、そちらにも密着して⾏きたいなと思っています」と⼒を込めた。

(C)2023「僕が宇宙に⾏った理由」製作委員会

映画『僕が宇宙に⾏った理由』は12⽉29⽇よりTOHOシネマズ⽇⽐⾕ほかにて全国公開。

(C)2023「僕が宇宙に⾏った理由」製作委員会

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