老犬の認知症予防!家で簡単にできる『脳トレ』3選 「日常に取り入れたい」「楽しみながらできそう」

1.宝探しゲーム

犬の脳トレとして、簡単で効果的なのが「宝探しゲーム」です。その名の通り、「犬にとってのお宝=おもちゃやおやつ」などを探し出させるゲームで、室内で気軽に取り組めます。

宝探しの方法はいくつかあります。

まずは、移動せずにその場でお宝が入っているものを当てさせるゲームです。

最も手軽なのが、犬の目の前で飼い主さんが左右の手のどちらかにおやつを握り、どちらに入っているか犬に当てさせるというもの。これは、「脳トレ」と意識せずとも、やったことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。

これと同様の形でのゲームとして、紙コップなどをいくつか用意し、その中におやつを隠します。犬に隠しているところや置き場所を入れ替えているところを見せてから探させると、記憶力や観察力を育てることに役立ちます。

反対に、犬に隠している様子を見せずに探させると、犬は嗅覚に頼ることになるので、感覚器への刺激が与えられます。これは、犬の嗅覚を生かしたドッグスポーツのひとつである「ノーズワーク」にもつながるものなので、ぜひやってみてくださいね。

次に紹介するのは、部屋の中(または庭など)を動き回って「お宝」を探させるゲームです。

犬に「待て」をさせるなどして、家具の後ろやクッションの下などに「お宝」を隠しましょう。その後、「探して」「Go!」などの合図で探しに行かせます。犬がお宝を見つけたら、探し出したおやつをそのまま食べさせたり、おもちゃで遊んであげたりしてください。

最初のうちは宝探しゲームのルールを教えるためにも、わざとお宝を隠している様子を見せてしまいましょう。愛犬がお宝を簡単に見つけ出せるようになったら、隠している様子は見せないようにしたり、隠し場所の難易度を上げたりしてみてください。

いずれも、犬が持つ優れた嗅覚や記憶力、観察力、想像力が必要になるゲームなので、脳にいい刺激が与えられます。老犬の認知症予防はもちろん、外で遊べないときのストレス発散にもなるので、難易度を変えながらぜひチャレンジしてみてください。

2.シェイピングゲーム

シェイピングゲームとは、ドッグトレーニングのひとつで、犬が自発的におこなう行動を強化しながら目的の行動へ導くものです。犬が見せる小さな仕草や行動を捉えてほめ、少しずつ行動を形成していきます。

少し前からSNSでも話題になっていた「コールベル」を犬が鳴らすように教えることも、シェイピングでできます。

まずはコールベルに犬が視線を送ったらOK、次はコールベルに一歩でも近づいたらOK、コールベルに興味を持ったらOK、コールベルのにおいを嗅いだらOK、コールベルに足で触れたらOK…というように、少しずつコールベルを鳴らす行動に近づけていくのです。
このとき、指示を出したり、コールベルに近づくように誘導したり、指示を出したりしてはいけません。犬自身が考えておこなった行動だけを評価してください。

OKの合図を出すために、一般的には「カチッ」と音が鳴るクリッカーを使いますが、ほめ言葉で代用することもできます。「OK」「good」「Yes」など、普段犬に対してあまり使わない言葉で、ごく短いほめ言葉をひとつ決めましょう。望ましい行動や仕草が見られた瞬間に、そのほめ言葉を言いながら即座におやつをあげましょう。

これをおこなっていると、犬は「どう行動すればほめられるのか」ということを自分で考えるようになります。自分で考えることはトレーニングにおいてとても大切なことですし、脳への刺激となって認知症予防にも役立ちます。

3.知育玩具を使ったおやつタイム

犬のおもちゃのなかには、脳トレに役立つ「知育玩具」と呼ばれるものが数多くあります。

詰め込んだおやつを犬が考えながら取り出す仕組みになっている「コング」が有名ですが、それ以外にもパズルのようなものや転がしておやつを出すボール型のものなど、様々なタイプがあります。

これらはおやつを取り出すために、どのように動かせばいいかを考えながら遊べるものなので、「頭の体操=脳トレ」になります。犬がひとりでも遊べるので、留守番中や飼い主さんが忙しくかまってあげられないときなどに便利です。

体力がなくなってきて、激しい運動や長時間の散歩ができなくなった老犬でも楽しめるものがたくさんあります。

「退屈」は認知症を発症させる要因のひとつでもあるので、犬の生活をより楽しく充実したものにするためにも、ぜひ取り入れてみてくださいね。

まとめ

認知症を患うと、飼い主さんの心配が増えるだけでなく犬自身にも負担がかかってしまいます。そのため、年齢を重ねても、いつまでも生き生きとしていて欲しいと思うのは多くの飼い主さんの願いだと思います。

この記事で紹介した脳トレは、子犬から老犬までいつでも気軽にできるものばかりなので、ぜひ愛犬と一緒に楽しく取り組んでみてください。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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