「一度入ったら全滅」養鶏場は警戒…鳥インフルエンザで卵の価格は? 需要が高まる季節を前に店も「不安」

卵の価格がまた高くなるかもしれません。佐賀県と茨城県で2023年シーズン初の鳥インフルエンザが確認され、静岡県内の養鶏場では対応に迫られています。私たちの生活に欠かせない卵の価格は、どうなるのでしょうか。

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静岡市葵区にある地鶏料理と地酒が楽しめる居酒屋です。

<店の人>
「お待たせしました。シャモの親子丼です」

自慢の親子丼には卵を3つ使っています。

<井手春希アナウンサー>
「いただきます。卵の味が濃いですね。卵が主役といっていいほど、メインの親子丼ですね」

この店では、一回100個以上の卵を仕入れるため、価格の高騰は直接、経営を圧迫します。

<地鶏料理「椛」芳賀裕久店主>
「(価格の高騰は)どうしようもない。卵は賞味期限とか新鮮じゃないとダメ。まとめて買うこともできないし」

クリスマスや年末年始というビッグイベントで、卵の需要が高まる季節ですが、お手頃な卵が確保できるのか、不安が募ります。

<地鶏料理「椛」芳賀裕久店主>
「うちの店では、卵がメイン。肉と卵。それがないと営業上、非常に影響する」

卵の生産や価格に大きな影響を与える鳥インフルエンザが広がり始めています。11月25日以降、佐賀県と茨城県の養鶏場で鳥インフルエンザが相次いで発生。この状況を受け、政府も危機感を強めています。

<宮下一郎農林水産大臣>
「発生県および関係府省庁との連携を緊密にし、防疫措置に万全を期してまいります」

国は、全国の養鶏業者に対し、発生の予防と蔓延防止に万全の対策を行うよう求めました。

静岡市葵区の養鶏場です。毎日、およそ1万4000個の卵を出荷しています。静岡県内では、鳥インフルエンザは確認されていませんが、すでに対応に迫られています。

<清水養鶏場 清水茂社長>
「石灰を撒くのが一番効果があるということで車の進入箇所の石灰を撒いてタイヤを消毒する。殺菌効果があって、菌が死滅すると聞いています」

鶏舎の入り口付近にも石灰を撒くことで、人の靴、ねずみや野鳥が進入をした場合の消毒の役目をしています。こうした対策には、限界があり、発生しないことを祈るばかりです。

<清水養鶏場 清水茂社長>
「一度入ったら、全滅。自分のところで出ないことを願うかぎりですね」

JA全農たまごによりますと、たまごMサイズの1キロの価格は、2022年1月に151円でしたが、2023年4月には350円と値上がりのピークに。4月以降は、価格が落ち着き始め、11月は254円となっていました。

今後の価格について、東京農業大学の信岡誠治元教授によりますと、2022年並みに鳥インフルエンザが流行した場合、2023年シーズンは380円まで上がる恐れがあるということです。

卵は幅広い用途に使われるため、今後の影響の広がりが懸念されます。

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