サッカーにおいて一つの大きなイベントが「ダービーマッチ」。同じ街のクラブ、あるいは歴史的なライバル関係があるクラブが対戦する試合だ。
今回は『Kreedon』から「サッカーの歴史上最高のダービーマッチ」をご紹介する。
オールドファーム・ダービー
クラブ:セルティック、グラスゴー・レンジャーズ
国:スコットランド
スコットランドの首都グラスゴーに本拠地を置いている2つのクラブ。オールドファームの語源は不明であるそうだが、その事実がこのダービーマッチの長い歴史を感じさせる。
アイルランド系のカトリック教徒から支持されたセルティック、そしてプロテスタント教徒から支持を得たレンジャーズ。宗教的にも分かれる両クラブのライバル関係は激しいもので、その試合で活躍することが選手の人気を大きく左右するほどだ。
マージーサイド・ダービー
クラブ:リヴァプール、エヴァートン
国:イングランド
リヴァプールに本拠地をおいている赤と青のクラブ。現在のスタジアムであるアンフィールドとグディソン・パークは1kmも離れていないほど接近しており、実はジェイミー・キャラガーなどリヴァプールのレジェンドも元々エヴァートンのファンだったというエピソードがある。
マージーサイド・ダービーは両チームが常に1部リーグを戦っているため、1963年以降毎年開催されている。これはイングランドでは最も長く続いている記録だが、もしかしたら来季は…。
マドリー・ダービー
クラブ:レアル・マドリー、アトレティコ・マドリー
国:スペイン
スペインの首都マドリッドを二分するダービーマッチ。1906年に初めて行われて以来、レアル・マドリーが111勝、アトレティコが58勝と差は付いているものの、そのライバル意識は依然として激しい。
時のフランコ政権に支援されたレアル・マドリー、そして左派のファンが支持したアトレティコ・マドリー。スペインの歴史の上で起こった政治的な分断も象徴するものだ。
ノース・ロンドン・ダービー
クラブ:アーセナル、トッテナム
国:イングランド
ノースロンドンダービーはアーセナルとトッテナム・ホットスパーの間で行われる試合だ。1909年12月4日に初めて行われてからアーセナルが82勝、トッテナムが65勝をあげている。
1913年に本格的にライバル関係が加熱したきっかけは、アーセナルが当時トッテナムのスタジアム付近に移転したこと。さらに1919年に1部リーグが拡張された際、最下位だったトッテナムではなく、なんと2部で6位だったアーセナルが昇格。そしてトッテナムは2部へ…それがさらに対立を煽ったという。
ルール・ダービー
クラブ:ボルシア・ドルトムント、シャルケ04
国:ドイツ
ドイツで最も大きなダービーマッチと言えばおそらくルール地方の2つのクラブが戦うボルシア・ドルトムントとシャルケ04の試合だろう。ルールダービー、あるいはレヴィアダービーと呼ばれる。
1925年からスタートしたとされる試合はこれまで160試合が行われ、シャルケが60勝、ドルトムントが56勝。非常に拮抗した成績となっているが、近年はシャルケのほうが下部リーグに落ちており、なかなか見られない対戦に。
イタリアダービー
クラブ:ユヴェントス、インテル
国:イタリア
ユヴェントスとインテルの試合が1967年から「イタリアダービー」と呼ばれるようになった理由は意外にも不明だそうだが、おそらく当時両者が2部に降格したことがなかったからだと言われる。名付け親はジャーナリストのジャンニ・ブレラだったという。
こでまで公式戦はちょうど250試合が行われており、ユヴェントスが112勝、インテルが76勝、引き分けが62という成績となっている。
マンチェスター・ダービー
クラブ:マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ
国:イングランド
イングランドにおけるマンチェスター・ダービーは、同じ街のクラブが戦う熾烈な試合だ。ただ、より面白いのはこのダービーの意味合いが歴史とともに変わったことだ。
昔は両クラブにライバル意識は乏しく、兼任ファンも多かったという。ただ1970年にジョージ・ベストのタックルによりシティのグリン・パルドーが足を切断する寸前になるほどの怪我を負ってからライバル意識が加熱。90年代にはユナイテッドの成長によって格差ダービーとなったが、2000年代終盤からはそれが逆転。今やシティのほうが優勢となっている。
ノースウェスト・ダービー
クラブ:リヴァプール、マンチェスター・ユナイテッド
国:イングランド
リヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドは歴史的なイングランドのビッグクラブ同士で、それほど距離的にも離れていない近隣の地域だ。1894年から始まった激しいダービーはこれまでマンチェスター・ユナイテッド側が80勝57分け67敗と優位に立つ。
この試合はサッカーだけのものではなく、マンチェスターとリヴァプールの都市的な対立も関係している。産業や経済の面でも常に競争してきた街であるのだ。
ミラノ・ダービー
クラブ:ミラン、インテル
国:イタリア
イタリアで最も有名なダービーマッチといえばミラノ・ダービーである。同じサン・シーロをホームスタジアムとする赤と青のライバルチームは、1909年からリーグで201試合が行われ、インテル側が77勝59分け65敗とややリードしている。
ミラノという大都市を二分する試合は特に90年代から2000年代にかけて世界最高のダービーマッチだった。意外なことにこの両チームはかなり選手が行き来するため、それに起因する対立も多い。
エル・クラシコ
クラブ:レアル・マドリー、バルセロナ
国:スペイン
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もちろんスペインサッカーにおける最大の試合はエル・クラシコ。バルセロナとレアル・マドリーの間で行われるダービーマッチは、ヨーロッパだけではなく世界中で話題を集めるビッグイベントだ。
1902年に始まったこの試合は、中央政権のカスティージャを象徴するレアル・マドリー、そしてカタルーニャ地方を象徴するバルセロナという政治的な対立をも内包しており、両者のナショナリズムやプライドを示すための戦いでもある。