アニメ『葬送のフリーレン』剣の里で語られた“勇者ヒンメルの真実”にファン脱帽「紛れもなく本物の勇者」

11月24日に放送されたアニメ『葬送のフリーレン』第12話。タイトルは「本物の勇者」。フリーレンたちはかつてヒンメルが〈勇者の剣(つるぎ)〉を引き抜いた場所として知られる「剣の里」を訪れる。そこでは80年前のある真実が明るみに……。それは一つ間違えば、 “勇者” であるヒンメルの立場を危ぶめるものだった。しかし放送後、SNS上にはヒンメルを称賛する多くの声が。ファンの胸を打ったヒンメルの言葉、そして“本物の勇者”が意味することとは?

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆“偽物”から始まった勇者の旅

勇者ヒンメルの死去から29年。フリーレンは夢の中にいた。そこはヒンメルたちと共に魔王討伐へ旅立った日。王様からもらえた旅の資金は、たったの銅貨10枚。「ケチだよね」とぼやくフリーレンを、「無理もありませんよ」とハイターが諭す。今まで多くの“勇者”が旅立ち、そして魔王討伐に失敗してきた。今回もどうせ……、そんな風に王様が感じていても仕方ない。ハイターの言葉にヒンメルも賛同。「地道に討伐依頼をこなして路銀(ろぎん ※旅費)を稼ぐのもいいじゃないか。冒険らしい」と笑って、腰の剣を抜いてみせた。

「ねぇ、その剣。“勇者の剣”だ」とフリーレン。ヒンメルが持つそれは、女神様が授けたとされる伝説の剣に酷似していた。紺色の柄に金色の鍔(つば)。剣身は青白く、美しいまでに景色を写している。しかしハイターが笑って答えた。「レプリカですよ」。驚くフリーレンにヒンメルが続ける。「昔、村に来た行商人を魔物から助けたときにお礼でもらったものだ。未来の勇者にってね」。

偽物の “勇者の剣” を見つめヒンメルは、「子供だましみたいなものだ」と笑う。だがその瞳の奥には、信念のようなものが感じられた。「それが勇者になったきっかけ?」。問いかけるフリーレンに、ヒンメルは首を振る。「村の孤児院にハイターっていうムカつく奴がいてね。偽物の剣しか持っていないから、偽物の勇者にしかなれないと僕に言ったんだ。じゃあ本物になってやろうじゃないか。そう思ったんだ」。魔王討伐旅に出たこの日、勇者ヒンメルは改めて誓った。「僕はいつか本物の“勇者の剣”を手に入れて、魔王を打ち倒す」。

……フリーレンが目を覚ますと、そこは白銀の世界。北側諸国シュヴェア山脈の真っただ中。吹雪の中で寝てしまった自分を、フェルンが背負って運んでくれていた。一行はさらに北へ。山奥にある集落“剣の里”を目指す。

「剣の里」にたどり着いた一行を出迎えたのは、一人の少女

◆語り継がれる“勇者の物語”と、その続き

「お待ちしておりました」。吹雪の中、無事に目的地へと到着したフリーレンたちを出迎えたのは、“49代目・里長(さとおさ)”を名乗る少女。あまりの若さに驚く一行に「世襲なもので」とつま先立ちで答えた彼女は、さっそく里の奥へと案内してくれた。山の斜面に石造りの家々が並ぶ。「ここが剣の里か……」と、シュタルクが感慨深い様子でつぶやいた。なんでもこの里の“話”は、かなり有名だと言う。

シュタルク曰く、ここは〈勇者の剣〉を守っていた里。女神様が授けたとされるその剣は、近くの聖域に刺さっていた。しかし歴史上のどんな英雄たちが引き抜こうとしても微動だにしなかったという。「80年前まではな」と補足するシュタルクに、「その剣を引き抜いたのがヒンメル様なのですね」とフェルンが続く。勇者一行の僧侶ハイターを師に持つフェルンは、なぜか“その話”を聞かされていなかった。里長の語る言い伝えでは、〈勇者の剣〉を引き抜けるのは、この世界を滅ぼす大いなる災いを打ち払う勇者のみ。3人の会話を、フリーレンはただ静かに聞いていた。

案内された屋敷で暖をとりながら、シュタルクとフェルンはこの里を訪れた目的を知る。それは里の周辺に“定期的に湧く”という魔物の討伐。里親が言うに、それはフリーレンの“お役目”。80年前、ヒンメルたちと里を訪れた際に取り決められたようだ。「面倒ごとは早い方がいい」と、フリーレンたちは翌日から魔物退治に取り掛かる。敵の数は予想以上に多かったが、3人は順調に“お役目”をこなしていった。

やがて小さな洞窟の前に一段と魔物が集中していることに気づいたシュタルクは、群がる魔物たちの中心に勢いよくオノをたたきつけ、これを一掃。ようやく“お役目”も終わりかと、ふと洞窟の奥に目を向けた。……魔物たちはなぜここに? そんな疑問が浮かぶや否や、シュタルクの目に不可思議な光景が映る。「こいつはどういうことだ?」。そこには、80年前にヒンメルが引き抜いたはずの〈勇者の剣〉が突き刺さっていた。目を疑うシュタルクに、フリーレンはやれやれといった様子。彼女は里長と顔を見合わせると、80年前の真実を語り始めた。「ヒンメルはこの剣を抜けなかったんだ」。

「いつか本物の“勇者の剣”を手に入れて、魔王を打ち倒す」 “偽物”の剣にヒンメルは誓った

◆“本物の勇者”

今から80年前のこと。「今回の勇者も本物ではありませんでしたか」。そんな47代目・里長の言葉が、〈勇者の剣〉を抜けなかったヒンメルの背中に刺さる。フリーレンもアイゼンも、そしてハイターも、彼にかける言葉を見つけられずにいた。

だがヒンメルは静かに、⁠⁠⁠⁠そして⁠⁠⁠力強く言った。「いいじゃないか、偽物の勇者で。僕は魔王を倒して世界の平和を取り戻す。そうすれば偽物だろうが本物だろうが関係ない」。振り返ったその表情は、選ばれなかった者の“覚悟”を語っていた。

……なぜフリーレンが“魔物討伐のお役目”を請け負ったのか。なぜハイターが、有名な“勇者の剣の伝説”を愛弟子のフェルンに聞かせなかったのか。自身の言葉通り〈勇者の剣〉を持たずとも世界を救って見せたヒンメルを、フリーレンは「本物の勇者だよ」と称えるのだった。

魔王討伐を果たした勇者一行 “10年の旅”は今もフリーレンの中に…(画像は第1話より引用)

◆“偽物”から“本物”になった勇者ヒンメルに称賛の声

世界を救った勇者ヒンメルが実は〈勇者の剣〉を引き抜いていなかった、という衝撃の事実が明かされた第12話。しかし「本物の勇者ではない」と現実を突きつけられたヒンメルが自身の素質を疑うことなく、魔王討伐へ向けて新たに覚悟を決めた姿に視聴者からは、「紛れもなく本物の勇者」「“本物になる”と誓う志の高さには脱帽」「偽物が本物を凌駕する展開いいよね」など、ヒンメルを称える声が後を絶たない。

ヒンメルといえばこれまでも「勇者一行の銅像を各地に建てる理由」など、その心優しい“イケメンぶり”が回想シーンでたびたび明かされてきた。今回のエピソードでさらに好感度を上げたヒンメルに、SNS上では「天井知らずで株を上げていく男」といった声も。今後はどんな回想で、どう株を上げるのか。フリーレンたちの旅路とともに、ヒンメルの登場シーンにも注目していきたい。

次話『葬送のフリーレン』第13話「同族嫌悪」は、12月1日(金)よる11時「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国30局ネット)にて放送予定。

画像提供:©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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