ウチナーンチュが愛してやまない「沖縄そば」。地元で人気の店がおいしくないわけがない!!
沖縄タイムスが、2023年10月17日の「沖縄そばの日」に関連して実施した「イチオシの沖縄そばアンケート」。特に人気の高かった店舗を厳選してご紹介します。
第4弾は、宮古・石垣エリア。今回も、1店ごとの解説と写真提供は、300杯以上の沖縄そばを食べ歩き、大のそば好きとして人気番組「マツコの知らない世界」に出演経験があるさんぺい(本名:山城晋平)さんに務めてもらいました。(デジタル編集部・篠原知恵)
※アンケートは沖縄タイムス読者を中心に910人が回答。
※10月17日公開の第1弾「沖縄本島南部エリア編」はコチラ、24日公開の第2弾「沖縄本島中部エリア編」はコチラ、31日公開の第3弾「沖縄本島北部エリア編」はコチラから。
総評「島々で輝く個性豊かなそば 『ここだけ』の味を堪能して」
宮古・石垣エリアの回答結果を見た、さんぺいさんの総評は以下の通り。
宮古・石垣エリアは多彩な沖縄そば屋が選ばれました。
沖縄そばとひと口に言っても、地域ごとに違いがあり、特に「宮古そば」「八重山そば」が知られています。
一般的に宮古そばは、細麺でストレートの麺が中心で、具材を麺の下に隠すスタイルが知られています。また、八重山そばは、細めの丸い麺が特徴的で、細切りの豚肉とかまぼこがのっています。香辛料として「ピパーチ」を用いることでも有名です。
選ばれた6店は、どれも地域を代表する人気店で、その店でしか食べられない逸品ばかり。
「伊良部かめそば」は伊良部島、「明石食堂」は石垣島の明石集落と、市の中心部からは遠い場所にありますが、それでも開店前から行列ができる人気店です。どちらも、そこでしか食べられない貴重な沖縄そばで、本当においしい沖縄そばには人を引き付ける魅力があるんだと思います。
今回のアンケートでは都合上、選出されていませんが、宮古・石垣以外の離島にも、沖縄そばの良店がたくさんあります。久米島の味噌(みそ)そばや、座間味島のもずくそばなど地元の特産品を用いた個性豊かな沖縄そばが存在していて、まさに沖縄の島それぞれが星のように輝きを放っています。
ぜひ、これを機会に沖縄本島だけでなく、離島の沖縄そばにも注目いただけたらうれしいです!
それでは、多くの票を集めた宮古・石垣エリアの6店を紹介していきます!
石垣島:「これぞ王道の八重山そば」
来夏世・くなつゆ(石垣市石垣)
▼イチオシに「来夏世」を挙げた回答者の声(一部)
「昔ながらの味」(宮古・八重山30代bokuarkey)
「あっさりだしでおいしかった」(南部40代tami)
「おいしい」(宮古・八重山30代ち)
「麺とスープがおいしい」(南部40代えりこ)
「あっさりで毎日食べたくなる」(中部40代まさかり)
「これぞ王道の八重山そば」(中部50代なあおとん)
「だしが濃くなく、上品。店内も古民家で雰囲気がいい」(県外50代マッシー)
「澄んだだしでカツオの香りも高い」(宮古・八重山50代チョロ)
「八重山そばの良さが感じられる」(南部30代ぽよちゃん)
「シンプルながらバランスが最高」(県外30代ヤット)
▼解説:シンプルながら圧倒的なうまさ これぞ沖縄そばの理想形
今回のアンケートで最も反響の大きかった、石垣市石垣にある「来夏世(くなつゆ)」。地元客はもちろん、幅広いお客さんでにぎわう八重山そばの代表的なお店の一つです。
伝統的な八重山そばをベースにしつつ、さらにブラッシュアップした繊細なそばをいただくことができます。
スープは、動物系をベースにしていてコクがありますが、上品な味付けで、すっきりとした印象。だしのうまみがスーッと伝わって絶妙です。最小限の味付けで、だしのおいしさを引き出しています。
麺は、八重山地方特有のストレートの丸麺で、ソフトな口当たりが特徴。具材は、八重山そば定番の、豚肉とかまぼこの細切りです。
シンプルな構成ですが、圧倒的なスープと麺のおいしさで物足りなさはなく、満足感がしっかり。派手じゃないけど滋味があって、飽きが来ず、また食べたくなる、まさに沖縄そばの理想形だと思います。アンケートでも「シンプルながらバランスが最高」「これぞ、王道の八重山そば」など、評価の高さが印象的でした。(さんぺいさん)
【お店情報】
来夏世(くなつゆ) 石垣市字石垣203 水・木・日曜休みの午前10時~午後2時(駐車場あり)
八重山そば(大)650円、(中)550円、(小)450円、八重山そばセット750円など
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宮古島:「宮古そばを代表する一杯」
古謝そば屋(宮古島市平良)
▼イチオシに「古謝そば屋」を挙げた回答者の声(一部)
「優しい宮古そば」(県外50代てっちゃん)
「スープの味。ソーキがおいしい」(県外60代Dragon60)
「軟骨ソーキがおいしい」(南部30代きゃん)
「そばがおいしく、メニューも豊富」(南部50代やわやわ)
「麺がいい」(南部50代黒剣龍)
「バランスの良い味に加え、店の雰囲気もモダン」(南部50代くまじゅん)
「おいしすぎて宮古島に行くと絶対に食べます」(中部60代ポックン)
「おばあちゃん家のそばのような、ほのぼのとしたおいしさが魅力」(中部50代コザすば)
「そばだしカレーがおいしい」(南部50代ワンビア)
▼解説:宮古そばのおいしさを凝縮 総合力の高い一杯
宮古地域でアンケートの反応が大きかったのが、宮古島市平良下里にある「古謝そば」です。
1932年創業と、沖縄そば界の中でも老舗で、宮古そばを代表する有名店です。看板の宮古そばは、澄んだ美しいスープが特徴。かつお節主体のあっさりとしたスープで、甘みがじわーっと広がっていきます。もう、いくらでも飲めそうな気持ちになるおいしさ。
麺も店のオリジナルで、沖縄全県でも流通する宮古そば麺を製造しています。口当たりが滑らかな、もっちりとした食感で、麺そのものの風味がしっかり感じられます。
具材は、シンプルな宮古そばのスタイルで、赤肉に、かまぼこ、ネギ。味のよく染みた豚肉も絶品です。かつおだしのストレートなおいしさと、麺の喉ごし、宮古そばのおいしさを凝縮したような一杯。
アンケートでは、スープ、麺、具材それぞれに評価が高く、トータルでレベルの高さがうかがえました。「宮古島に行くと絶対に食べます」とのコメントの通り、宮古島を訪問の際には、絶対に寄ってほしいお店の一つです。(さんぺいさん)
【お店情報】
古謝そば屋 宮古島市平良下里1517−1 水曜休みの午前11時~午後4時ラストオーダー(駐車場あり)
宮古そば780円、宮古そば(小)680円、ソーキそば880円、ソーキそば(小)750円など
公式ホームページ Google
石垣島:「ボリュームにびっくり!!」
明石食堂(石垣市伊原間)
▼イチオシに「明石食堂」を挙げた回答者の声(一部)
「トータルのバランスが良く、沖縄県内で一番好きな店です」(県外50代かべちゃん)
「観光客時代の思い出の味。ボリュームが大きかった」(南部40代やたろう)
「ここしか思いつかない」(北部50代やぁすぅ)
「ソーキが最高」(南部40代ジョー)
「だしがおいしい」(県外50代ネロ)
▼解説:ここでしか味わえない、時間や手間をかけても食べたい一杯
石垣島北部の明石集落にある「明石食堂」。市街地から車で40分ほどかかる小さな集落ですが、この店を目当てに開店前から行列ができます。
店の特徴の一つが軟骨ソーキ。(中)サイズでも、器を覆うような大ぶりの軟骨ソーキの塊がごろっと入っています。味のよく染みた軟骨ソーキは、口の中でとろけるような軟らかさ。ボリュームも味も絶品です。
スープは、うっすらと白濁した豚骨が主体。重厚感がありますが、丁寧で雑味がなく最後までおいしく飲み干すことができます。
麺は、八重山で定番の丸麺ストレートで、スープとの相性も抜群。八重山特有の香辛料「ピパーチ」をかけてもよく合います。
ソーキそばや八重山そばに加え、野菜そばも人気メニューだそう。アンケートでは、やはり軟骨ソーキへのコメントが多く「ソーキが最高」「ボリュームがすごい」との声がありました。
スペシャルな軟骨ソーキに濃厚なスープはここでしか体験できません。時間や手間をかけてでも食べたい一杯です。(さんぺいさん)
【お店情報】
明石食堂 石垣市伊原間360 月・火・水曜休みの午前11時~午後3時(駐車場あり)
※2月いっぱいは休み、3月以降は日・月・火・水曜休みになる見通し
八重山そば(大)700円(中)600円(小)500円、ソーキそば(大)1200円(中)950円(小)700円、野菜そば(小)700円(中)500円など
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石垣島:「唯一無二の味噌仕立て」
キミ食堂(石垣市登野城)
▼イチオシに「キミ食堂」を挙げた回答者の声(一部)
「味噌そばがおいしい」(南部50代マロン)
「ピリ辛味噌そば、汗が噴き出るけど、本当においしい。牛がうまい」(南部20代昇竜)
「ありそうでない味噌仕立て。二日酔いの時に最高。こういう沖縄そばもありだと思います。八重山に行く機会があれば必ず寄りたくなるお店」(南部60代トミー)
「キミさんが最高! 宮古(多良間)味噌がうまい!」(南部50代修ちゃん)
「味噌仕立てのだしが唯一無二」(南部50代ぱたこ)
▼解説:味噌のおいしさ前面に! 一度食べたらハマる至福のうまさ
石垣市の八重山高校近くにある、創業約50年になる「キミ食堂」。今回選ばれたお店はどれも、そこでしか食べられない沖縄そばばかりですが、キミ食堂は特にそんなお店です。
店の看板メニューは「味噌そば」。沖縄そばは一般的に、カツオや豚でだしを取り、塩やしょうゆを中心に味付けするため、味噌ベースの沖縄そばは珍しいといえます。
味の決め手は、自家製の味噌。味噌そばを作ったきっかけは、先代が自家製の「宮古みそ」を作っていたからなんだそう。そのため、他店で同じ味は出せないんです。
スープは、味噌のおいしさを前面に出したもの。このスープにシャキシャキのモヤシなどの野菜がよく合って、豚肉、八重山そばの麺を一緒に食べるともう至福のおいしさです。
アンケートでも、「味噌仕立てのだしが唯一無二」「味噌そばがおいしい」「二日酔いの時に最高」など、味噌そばファンから多くの声が寄せられました。
食べたらハマる味噌そば。この味を求めて、連日たくさんのお客さんが訪れる名物食堂です。(さんぺいさん)
【お店情報】
キミ食堂 石垣市登野城319-6 木曜休みの午前10時から午後4時(売り切れ次第終了、向かいのマックスバリュに駐車可)※12月から木曜休みの午前8時から午後4時に営業時間を延長
うす切牛の肉盛りそば900円、味噌そば700円、八重山そば700円など
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伊良部島:「島特産で味わう濃厚だし」
伊良部そば かめ(宮古島市伊良部)
▼イチオシに「伊良部そば かめ」を挙げた回答者の声(一部)
「だしがおいしい。握りずしとのセットがいい」(県外40代えりこ)
「だしがうまい」(中部50代あーちゃん)
「なまり節がのっていてかつおだしも濃厚」(南部40代うにひんばやま)
「なまり節の入ったそばがとてもおいしい」(中部30代そばのメンバー)
「燻製(くんせい)かつおのなまり節がおいしかった」(県外50代直姫)
▼解説:島の魅力詰まった一品 開店前から並ぶ地元の人気店
宮古島市の伊良部島にある「伊良部そば かめ」。市街地からは距離がありますが、それでも連日、開店前から並びのできる人気店です。
お客さんの多くが注文するのが看板メニューの「かめそば」。三枚肉、ソーキ、ゆし豆腐を一杯で楽しむことができます。
特徴的なのが、スープに伊良部島産のかつお節を用いている点。雑味がなくクリアで、だしのうまみがしっかり感じられる、余韻の残るスープです。
また、麺は自家製でコシの強さが特徴。おそらく、初めて食べる方はびっくりするんじゃないでしょうか。滑らかで、単純に硬いだけでなくもっちり感もあるおいしい麺になっています。
アンケートでは、かつおだしがおいしいとの声が多くありました。カツオ漁が盛んな伊良部島ならではの宮古そば。他に、島産のなまり節を用いた「伊良部そば」も人気で、サイドメニューでマグロの握りが食べられるのもユニークです。
まさに、ここでしか味わうことのできない宮古そば。離島の魅力が詰まった一杯です。(さんぺいさん)
【お店情報】
伊良部そば かめ 宮古島市伊良部長浜251 午前11時~午後3時半ラストオーダー(駐車場あり)
伊良部そば750円、かめそば830円、ゆし豆腐そば750円など
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石垣島:「ほっと安心できる味」
なかよし食堂(石垣市新栄町)
▼イチオシに「なかよし食堂」を挙げた回答者の声(一部)
「スタンダードな八重山そば。汁が自分の好み」(県外60代うるまきりん)
「麺にコシがあっておいしい!」(南部30代かずくん)
「八重山そばがめっちゃおすすめ! 安心する味でお店に行くとほっとできます」(県外30代れい)
「だしも麺もおいしい」(南部50代くろしま)
「安くておいしい」(中部30代なふぁーむん)
「野菜そばが好き」(南部40代toshi)
▼解説:「早い」「安い」「うまい」の3拍子 飾らない味の不思議な魅力
石垣市の新栄町で、創業50年以上になる老舗の「なかよし食堂」。親しみやすい、昔ながらの「町の食堂」といった雰囲気です。
八重山そば以外にも食堂の定番メニューがそろっていて、提供スピードが早いのも特徴。まさに、「早くて、安くて、うまい」の3拍子がそろったお店なんです。
なんと、八重山そばは、今でもワンコインで食べることができます。
スープは、豚骨を主体にだしを取っていて、コクがありしょうゆを効かせたしっかりとした味付けが特徴。麺は八重山そば定番のストレートの丸麺で、具材は豚肉の細切りが入っています。
飾らないシンプルな八重山そばですが、でもそこが良い。不思議な魅力があって、なぜかまた一口と飲みたくなります。
メニューでは、八重山そばの他、ソーキそばや三枚肉そばも人気です。アンケートでも「安心する味でお店に行くとほっとできます」との声がありました。どこかほっとする味の八重山そば。こうした家庭のような地元の食堂が、いつまでも続いてほしいなと思います。(さんぺいさん)
【お店情報】 なかよし食堂 石垣市新栄町26-21
八重山そば500円、ソーキそば700円、三枚肉そば700円など
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解説者のさんぺい(本名・山城晋平)さんプロフィール 1976年沖縄県那覇市生まれ。2012年に沖縄そばの食べ歩きをはじめ、ブログなどで発信を行う。2021年に沖縄県庁を退職し、福祉の仕事を行いながら、メディアに出演するなど全国へ沖縄そばを広める活動を行っている。ブログは『さんぺいの沖縄そば食べ歩き』