カフェ大手の「サンマルク」に復調の兆し 「コメダ」も好調維持

東京都港区のサンマルクの店舗

上場カフェ大手のサンマルクホールディングス<3395>に復調の兆しが表れてきた。同社は2024年3月期の業績を上方修正し、売上高を当初より6.8%引き上げ、営業利益も33.3%増額した。

すでに、上場カフェ大手のコメダホールディングス<3543>は、2026年2月期を最終年度とする中期経営計画を見直し、一株当たり利益(EPS)の年平均成長率を当初の10%以上から13%以上に、投下資本利益率(ROIC)を10%以上から11.5%以上に引き上げている。

カフェ業界はコロナ禍で大打撃を受け、コロナ禍前には1兆2000億円ほどだった市場規模が8000億円ほどにまで縮小したが、新型コロナが2023年5月に5類に移行したあとは客足が戻ってきた。

業績の見直しは、こうした情勢を踏まえたもので、実際に売り上げが予想を上回るスピードで伸びたことから採算性が改善しており、原材料価格やエネルギー価格の高騰などの減益要因をカバーした格好だ。

同様の状況は両社だけでなく他のカフェ企業にも等しく訪れていることが予想できる。カフェ業界は再び1兆円市場に復帰できるだろうか。

予想を超える売り上げに

サンマルクは2024年3月期上半期の売上高が業績予想を上回ったのに加え、不採算店の閉店、原材料費や人件費、電力料などのコスト削減に取り組んだことから、営業、経常、当期の前段階の利益が業績予想を大幅に上回った。

このため2024年3月期通期の業績予想を上方修正したもので、売上高は当初より40億円多い630億円(前年度比8.9%)に、営業利益は同5億円多い20億円(同8.34倍)に引き上げた。

同社は2021年3月期に営業赤字に転落し、2022年3月期も2連続の営業赤字に陥っていた。2023年3月期は営業黒字を確保したもののその金額はわずか2億3900万円だった。それが2024年3月期は一気に8倍以上に膨らむことになる。

2024/3は予想

EPS、ROICを上積み

一方、コメダは2023年2月期に売上高と営業利益がコロナ禍前の2020年2月期の水準を上回ったこともあり、2023年4月に中期経営計画の数値目標を上方修正している。

1株当たり利益の成長率は、2023年2月期に22.9%となっているため、当初の計画より3%上積みし、2022年2月期から2026年2月期までの5カ年の中期経営計画中の平均成長率を13%以上にした。

また投下資本利益率も2023年2月期に10.5%となっていることから、こちらも1.5%上積みし、中期経営計画最終年度の2026年2月期に11.5%以上を目指すことにした。

2024年2月期の業績については修正しておらず、当初の予想通り、売上高425億円(前年度比12.3%増)、営業利益87億円(同8.4%増)を見込む。

2024/2は予想

コロナ禍越えも

日本フードサービス協会によると、カフェの市場規模は、コロナ禍によって2020年に30%ほど落ち込んだあと、2021年はほぼ横ばいで推移し、2022年は16.8%の増加に転じている。

2022年時点ではコロナ禍前の80%ほどに留まっているが、2023年に入っても2ケタを超える伸びを維持しているため、コロナ禍越えも見え始めてきた状況にある。

文:M&A Online

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