【リニア】田代ダム案について「引き続き専門部会でJR東海と対話を進める」静岡・川勝知事

リニア新幹線工事に関する田代ダム案について川勝知事は28日の定例会見で県の専門部会の「検討に値する」という意見も踏まえたうえで、引き続き専門部会でJR東海と対話していくと述べました。

川勝知事 午後2時ごろ:
「大井川利水関係協議会としての意向を見て、これが決定され次第、速やかにJR東海に回答したいと思っている」

午後2時から開かれた定例会見で川勝知事が言及したのは28日もリニア問題について。

JR東海が2027年の開業を目指していたリニア中央新幹線。

南アルプスを通る静岡工区では工事による水や環境への影響を懸念し、静岡県側が着工を認めていません。

そうした背景もあって“未来の乗り物”の開業時期は依然として見通せない状況です。

この状況を打開しようとJR東海が動いたのが去年4月のこと。

静岡県にとって最大の問題とも言える“水問題”の解決策として提案したのが…。

「田代ダム案」

田代ダムへの取水を調整することで大井川の流量を維持する田代ダム案。

この案をめぐっては10月、JR東海がダムを管理している東京電力グループと協議がまとまったことを発表。

大井川利水関係協議会の事務局を務める県に対し
「了解」を求める要請書を送っていました。

JR東海を批判も

ところが・・・

川勝知事 9日:
「この間の遅れ(の責任)は、JR東海ご自身にあるわけだから、それをどこかの県になすりつけるような発言を一貫してなさってこられておりますけれど、我々はそれを誠に遺憾であると思っております」

リニア開業の遅れは「JR東海にある」と言わんばかりに痛烈に批判。

これだけでは収まらず…。

川勝知事 9日:
「(田代ダム案は)提案から1年半を要してようやく実施策が示されたという印象。はっきり言うとJR東海がいかに準備不足でこの発言(提案)をしたのか、その責任は現在の金子会長にある。その間にいかに振り回されたかと。その責任は痛感していただきたい」

JR東海は

これについては、JR東海も反論。

JR東海 丹羽俊介社長 16日
「プロセスを踏んでいろんな方々のご意見を頂戴しながら進めてきている。我々がやるべきは大井川利水関係協議会の会員の方々に了解をいただいて、最後の詰めの協議を進めていくことだと思っている」

大井川流域にとっては“水問題の解決策”とまで言われていた田代ダム案。

島田市 染谷市長は

JR東海と東京電力とで話がまとまったことについて、
島田市の染谷市長が27日言及しました。

島田市 染谷絹代市長 島田市役所 27日
「私ども利水関係協議会については了解するということで考えている。議論を一歩前に進めることができればありがたい。今週中にも書面決議のほうはまとまっていくのではないか。県の意見を含めてそう遠くないうちにJR東海に返事ができるのではないかと思っている」

田代ダム案が提示されてから1年7カ月。

事態はようやく前に進むのでしょうか、28日の会見で川勝知事は…。

28日の会見では

Qこれはリニアの工事にとって一歩前進したという考え?

川勝知事 午後2時すぎ:
「そうですね。」

リニア問題について一歩前進したとの考えを示した川勝知事。

その上で・・・

川勝知事 午後2時すぎ:
「これは県の専門部会でも検討に値するスキームであるという意見もいただいている。ただその専門部会で今後検討するという未決定の事項などが含まれているということも明らかになっているので、実現性を技術面から確認するために、引き続き専門部会でJR東海との対話を進めていくという姿勢の上で、スキームとして妥当であるとの意見があるのでそれを尊重したい。」

田代ダム案を今後、県の専門部会でも議論していくことを示唆した川勝知事。

一方で水問題にかかわるボーリングについても記者から質問が・・・

QJR東海は田代ダム取水抑制案が県に認められれば、県内で高速長尺先進ボーリングを行う環境が整う認識を示しているが?

川勝知事 「午後2時すぎ」:
「この件については報道で知った。静岡県側の県境付近には大量の湧水を含む破砕帯がある。静岡県内の高速長尺先進ボーリングによって大井川の中間流域の水資源への影響だけでなく、上流域の生態系への影響も懸念される。県境を越えた静岡県内の高速長尺先進ボーリングの実施は、それらへの影響を回避低減するための具体的な保全措置が示された後でなければ認められない。」

ゴールが見えかけた田代ダム案。

議論はまだまだ続くかもしれません。

© 静岡朝日テレビ