「期待にそむく事故」人気のローカル鉄道で連結器が外れる 重大インシデントに認定 災害や老朽化 どうなる?年末イベント=静岡

11月28日午後、静岡県島田市の大井川鉄道で電気機関車と客車をつなぐ連結器が外れ、緊急停車しました。この事故を国土交通省は「重大インシデント」と認定し、鉄道事故調査官が現地入りしました。

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28日午後2時45分ごろ、大井川鉄道の列車内部で撮影された映像には、ガタンと大きな音がした直後、列車が緊急停止する様子が映っていました。

<大井川鉄道 鈴木肇社長>
「安全・安心輸送を第一に掲げる鉄道会社として、期待に背く事故を起こしてしまい深く反省し、会社の代表として謝罪させていただきます」

29日午前10時から、大井川鉄道の本社がある新金谷駅で開かれた記者会見。社長と鉄道部長が参加しました。

大井川鉄道の説明によりますと、事故を起こしたのは期間限定の臨時列車。旧型客車を機関車が引っ張り、古き良き鉄道の旅情を味わえるイベントで、この秋は週2日ほどの運行が予定されていました。

先頭の電気機関車は昭和60年製、客車は昭和23年製。

事故は、折り返しの家山駅で機関車を付け替えた後、時速20キロから25キロで走行中に発生しました。機関車と客車をつなぐ連結器が外れたのです。

列車には、多くのファンが乗車していましたが、乗客81人と乗員5人にけがはありませんでした。事故の原因はわかっていません。

<大井川鉄道 坂本光司 鉄道部長>
「この黄色いバーがしっかりはまっていれば基本的にはロックが外れないが、そこがどうだったのかとか、機械的なもの、古い車両ですから不具合があった場合は別の要因の可能性もある」

大井川鉄道によりますと、同じ様に連結が外れる事故は、2008年と2010年にも発生しています。このときは原因が特定できず、再発防止策として連結が外れないようにロックをかける部品を取り付けていたといいます。

<篠原大和リポート>
「午後2時の新金谷駅です。運輸安全委員会の事故調査官が事故が起きた列車の連結器などを確認しています」

今回の事故について、国土交通省は「重大インシデント」と認定。事故の原因を究明するため、国土交通省の運輸安全委員会は、鉄道事故調査官を大井川鉄道に派遣しました。

今回の事故では、連結器が外れたことから、客車に自動的に非常ブレーキがかかり、すぐに停止したことから、乗客と乗員にけがはありませんでした。

しかし、クリスマスを前に12月1日からは、人気のトーマス号のイベントが始まります。大雨災害で一部区間の運休が続く、大井川鉄道。観光地としての人気を確立し、災害からの復興を目指す中での事故で、大きな影響が懸念されます。

<大井川鉄道 広報担当 加冷英鵬さん>
「当社では2両の電気機関車をSLとトーマス号で使っている。その1つが今回の事故の当該車両。調査が長引くと、2両を同時に走らせることができなくなるので、運休などが出るおそれがある」

運輸安全委員会による調査は、11月30日まで行われる予定です。

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