欧勝海けが乗り越え新十両 津幡の先輩・大の里追い

  ●笑顔「ほっとした」

 関取にあと一歩のところまで上がった番付は、左肩の大けがで序二段まで転落した。そこからはい上がってつかんだ関取の夢。29日、十両昇進が決まった欧勝海(おうしょううみ)(津幡町出身、鳴戸部屋)は「ほっとした。長いようで短かった」と感慨を込めて喜びを語った。町の少年相撲教室、高校と1学年上の大の里の背中を追ってきた欧勝海。入幕が確実な先輩を目標にさらに稽古に励むと決意を新たにした。

 福岡国際センターで会見した欧勝海は「とてもうれしい。周りからの言葉が心の支えになった」と笑顔を見せた。

 津幡南中から大の里の誘いで新潟・海洋高に相撲留学、卒業後に入門した。20年春場所の初土俵後、順調に番付を上げ、十両昇進圏内の西幕下7枚目で迎えた21年九州場所。取組中に左肩靱帯(じんたい)部分断裂の大けがに見舞われた。手術に踏み切って休場が続き、序二段まで番付を下げたが、けがを乗り越えて夢をかなえた。

 津幡町出身で2人目の関取。大の里は九州場所で勝ち越しが懸かった欧勝海の取組を花道で見守り「一番(関取に)上がってほしい存在」と明かしていた。

 師匠の鳴戸親方(元大関琴欧洲)は「早く三役に上がってほしい」と期待を込め、欧勝海は「(今は大の里に)差をつけられている。まずは追いつきたい」と郷土の兄貴分に対抗心を燃やした。

  ●「まず勝ち越しを」父・正人さん

 欧勝海の父深沢正人さん(56)=津幡町上矢田=は北國新聞社の取材に「よく頑張ってくれた。本当にうれしい」と目を細めた。本人からラインで報告があり「これからがスタートだよ」と返信したという。来年の初場所に向け「無事に15日間を過ごし、まずは勝ち越しを目指してほしい」とエールを送った。

 津幡町の矢田富郎町長は「毎日ワクワクしていた。けがに気をつけ、順調に番付を上げてほしい」と大の里に続く町出身の関取の成長を願った。

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