インフルエンザ、2種類のA型ウイルスが同時流行 福井の専門家「複数回感染する可能性」

福井県内のインフルエンザ感染者数推移

 福井県内で季節性インフルエンザの感染者が増えており、県の注意報が発令されている。感染症に詳しい福井大学医学部附属病院の岩崎博道教授は今シーズンの特徴として、例年より流行入りが早いだけでなく、2種類のA型のウイルスが国内で同時に流行していると指摘。「複数回感染する可能性がある」として、既に感染した人も含めて、感染予防対策を呼びかけている。

 県内39の定点医療機関から20~26日の1週間に報告された感染者数は、前週(13~19日)比1.44倍の646人(1定点当たり16.56人)と8週連続で増えた。前週に1定点当たり11.54人となり注意報基準の10人を超え、県は22日に注意報を発令。過去10シーズンで最も早い発令となった。

 流行が早い背景について岩崎教授は「新型コロナウイルス禍でインフルエンザの流行がなかったことによる集団免疫が落ちたことが考えられている」と話す。

 季節性インフルエンザのウイルスには、A型のH1N1型とA香港型、B型がある。一般的にA型の方が感染力が強く、症状も強いとされ、中でもA香港型は高齢者や小児で重症になりやすく、熱性けいれんやインフルエンザ脳症が多いといわれる。

 岩崎教授によると、国内では昨冬に流行したA香港型の感染が夏場も継続。さらに、昨冬は少なかったH1N1型の感染も9月ごろから増え始めた。同じA型でも種類が異なるため、A香港型、H1N1型の両方に感染する可能性がある。B型は3、4月頃に流行することが多いという。

 岩崎教授は「今後A型の2種類はどちらかが優位になっていくとは思うが、一度感染したから今季はもう大丈夫と思わず、予防を続けてほしい」と話す。

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 ワクチンには、H1N1型、A香港型、2系統のB型の成分が含まれ、「予防はワクチン接種が効果的」と岩崎教授。抗体ができるまでに約2週間かかり「接種を考えている人はできるだけ早く受けて」と訴える。効果は約5カ月持続するという。

 ワクチン接種以外の対策は▽手洗い▽うがい▽3密(密閉、密集、密接)を避ける―など。また、感染を広めないため、岩崎教授は「症状がある場合はマスクを着用することが大事。治療薬を服用することでウイルス量も大きく減るので、早く治療を受けてほしい」と話していた。

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