WorldRX王者KMSが来季2024年の候補にコチュリンスキーを本格検討「彼女は準備ができている」

 香港はセントラル・ハーバーでの初開催イベントを成功裡に終えた2023年のWorldRX世界ラリークロス選手権を経て、今季もチームタイトルを獲得したクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)を運営する“ヨハンの父”ことトミー・クリストファーソン代表が、早くも来季のドライバー候補を示唆。

 ワンメイク電動オフロード選手権エクストリームEでの活動と並行し、ステップアップラダーであるFIA RX2e選手権でタイトルに挑戦したミカエラ-アーリン・コチュリンスキーをラインアップに加えるべく「懸命に取り組んでいる」ことを明かし、彼女の戦績を評し「最高峰に昇格するための絶対的な準備ができている」と高く評価した。

 この週末に最終戦を控えたエクストリームEでも、ヨハン・クリストファーソンのペアとしてタイトル獲得に挑むコチュリンスキーだが、ここまでツーリングカーやGT主体で築いてきたキャリアの一方、散発的なプログラムで経験を積んだラリークロスでも、2023年は大きく飛躍を遂げたシーズンとなった。

 そのKMSと密接な関係にあるチームEからRX2eに参戦し、時間を無駄にすることなくワンメイク車両の『ZEROID X1』を手なづけたコチュリンスキーは、デビュー戦となったノルウェー・ヘルで早くも表彰台に上がると、ベルギーのメテではゲスト参戦したクリストファーソンに次ぐ2位を獲得。総合順位で3位に浮上したことで参戦計画を拡大し、ラリークロスの経験が豊富な同郷スウェーデン出身のニルス・アンダーソンやアイザック・シェクヴィストらに挑み、初挑戦のRX2e最終戦でタイトル戦線の輪に加わった。

 この経験を元手に、初開催のWorldRX香港ラウンドでは強豪フォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウスの3台目のラインアップに加わった31歳の彼女に対し、クリストファーソン“代表”は「彼女はすでに1番上のテーブルに座る準備ができていると確信するに足る、納得に値するものを見た」と語った。

2023年のWorldRX世界ラリークロス選手権最終戦として初開催された、香港セントラル・ハーバーにも出場した
「いくつかのエラーと技術的な問題によりファイナル進出は逃したけれど、多くの教訓とポジティブな経験を得ることができた」と振り返ったコチュリンスキー

■「KMSと緊密に連携できたことは素晴らしいことだった」とコチュリンスキー

「たとえ彼女が香港で真のポテンシャルを発揮できなかったとしても、我々はミカエラがどれだけの能力を発揮できるかを知っている」と続けたトミー代表。

「彼女にとっては、間違ったタイミングで間違った場所に何度も陥ってしまったような、難しい週末になった。リザルトにこそ反映されていないかもしれないが、しかしデータには実際のスピードの輝きが示されていたよ」

「彼女はこのスポーツのなかで育ち、長い間モータースポーツに関わってきた。そのため、彼女はそれがどのように機能するかを完全に理解しており、素晴らしい態度と非常に前向きな見通し、そしてアプローチを兼ね備えている。彼女はとてもプロフェッショナルで、とても賢い人物だ。人の話に耳を傾け、データを分析し、学んだことを実践していく。そして何より、彼女は非常に学習が早いんだ」

「彼女が今必要としているのは、より適切なラリークロスの経験だ。キャリアのほとんどがサーキットレースでのものだし、冬の間に氷上走行ができれば低μ(ミュー)路でクルマがどのように動き回るかをより良く感じる絶好の機会になる。要するに、ミカエラは次のステップに進む準備ができていて、私はそれについて何の疑問も抱いていない。彼女を来季のチームに迎え入れるよう努力しているし、まだ道のりは長いが、その目標に向け全員が懸命に取り組んでいるよ」

 香港初日の濡れたヒートでは、チームメイトのクリストファーソンと同じペースを保ち、全体5番手発進を記録。日曜朝のウォームアップではKMSの陣営内で最速タイムも叩き出した。

「いくつかのエラーと技術的な問題によりファイナル進出は逃したけれど、多くの教訓とポジティブな経験を得ることができた」と世界選手権最終戦を振り返ったコチュリンスキー。

「明らかに私が望んでいた結果ではなかったけれど、香港の中心部を走るのは最高だったわ。素晴らしいファンがたくさんいて、これまでに訪れた中でもっともクールなレース会場だった」

「でもコース上は大変で、ヒート2で小さなミスをしてセミファイナルまでにクルマを修正する時間が足りなかった。その点では私にとって大変な週末だったけれど、チャンピオンシップでのチームの成功をとてもうれしく思っている」

「そしてKMSと緊密に連携できたことは素晴らしいことだった。データ分析について多くのことを学べたし、前向きな気持ちでこの経験を振り返り、すぐにここへ戻ってくることを願っている」

参戦初年度でワンメイク車両の『ZEROID X1』を手なづけ、タイトル戦線の輪にも加わった
「データ分析について多くのことを学べたし、前向きな気持ちでこの経験を振り返り、すぐにここへ戻ってくることを願っている」

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